紀要第17号〜20号 研究紀要 - 000_02/094page
ま え が き
福島県教育センターにおいては,従来,研究の内容ごとに紀要を発刊して現在に至っている。すなわち,学校経営の改善に関する研究・教授組織の改善に関する研究,児童・生徒の発達の特徴に応ずる教育の研究・学習指導の改善に関する研究・および教育相談の事例に関する研究である。本年は,これを統合して1冊にまとめたのがこの紀要である。
学校経営は,学校における教育の効果を高めるために必要な組織ならびに運営に関する事項であり,教育課程の編成を中心とする教育計画をはじめ,教職員や児童・生徒の組織編成,施設設備の運営管理等の広はんな内容であり問題も少なくない。
しかしながら,本県としては,学習組織・事務組織・運営組織について述べてきたが今回は,さらに教職員の現職研修にウェイトをおき,その内容方法等について県内の実態をふまえ学校における研修のあり方についての基礎資料を提供した。
教授組織については,教育の本質に立脚して,個別指導の徹底と能力即応の学習を行わせることを基本として,教授組織・活動方法,技術の改善をはかるための資料とした。特に福島市立吉井田小学校,安達町立下川崎小学校には,実験学校としての立場から特に協力をいただき実践的な資料も掲載することができた。
児童・生徒の発達の特徴に応ずる教育の分野については,全教連における課題部会「子どもの発達と教育」との関連をはかって進めたものである。児童・生徒の発達の特徴に応ずる分野は,児童・生徒の学習能力の一環として子どもの家庭生活における基礎技能の発達を調べこれを学習への関連づけをはかろうとしたものである。
教育相談について本年度は,高校生の精神衛生に関する一考察とし,特に最近頻発している自殺行為(未遂行為も含む)の実態を調べ,これが原因を究明しあわせてその対策と指導に言及したものである。
これらは,それぞれのテーマに基づいて研究と考察を進めながら今日に及んだものの,まだ多くの問題をかかえている現状である。何とぞ,ご活用いただきますとともに,あわせてご指導とご批判をいただければ幸いである。
昭和50年3月
福島県教育センター所長 高 橋 幸 一