研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 037/060page
技術・家庭科(男子向き)学習指導資料の研究
−誘導電動機の原理説明器の試作−
−金属材料結晶組織の変形観察−(その1)
誘導電動機の原理説明器の試作はじめに
直流電動機やブラッシ付の交流電動機については,模型製作等により生徒は学習しているのであるが,もっとも実用的な誘導電動機については全く理解がない。
指導要領でも深くやらなくてよいことになっているが,大切な事項なので,およその原理はわからせたいと思う。従来絶縁線をたばねて1組のコイルを作り,一方のコイルにはコンデンサー又はコイル,他方には電球を抵抗として入れ並列に電源につなぎ回転磁界を作る。その中に空罐を吊し,回転することを示して良しとしてきた。
これは誘導電動機の模型ではあるかも知れないが,誘導電動機の原理説明器としては不満足であるように思われる。
教材開発のねらいで次のような実験器を試作してみた。
製作も容易であり,生徒の学習指導上にも極めてわかりやすいと思われるので発表したい。1.回転磁界説明器
@ 回転磁石は図−2のように1oのトタン板を巾15oに切り,コの字型に曲げその先端にフェライト磁石(面が極になっているもの)を極性が反対になるように張りつけた。
コの字の底の部分に内径2.5oの真ちゅうパイプをハンダ付けし,プラスチックプーリー=15oをとりつける。
A 回転子は35oのフィルムケースを用いた。中心に心棒を通す穴をあけ,上部には小さな銅板に軽くポンチを打ってへこみをつけたものをはりつけて軸受けとした。
ケースの内側にはうすいトタン板を円筒状にしたものをピッタリとにめ込む。
外側にはうすい銅板を円筒状にしたものを巻きつけた。この回転子は,固定心棒の先を針状にとげたところにかぶせて使用するものであるからバランス良く作ることが大切である。
(心棒の先端が丸味をおびていると回転子の回転状態が悪くなるので特に注意する。2の回転磁界を作る装置の固定心棒の先端部も同じ)