研究紀要第26〜28号 - 000_02/129page

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ま   え   が   き

新しい教育課程の改善のねらいとして3点あげられている。第1は,人間性の豊かな児童・生徒を育てること。第2は,ゆとりと充実感にあふれた学校生活が送れること。第3は,国民として必要な基礎的・基本的な内容を重視し,児童・生徒の個性や能力に応じた教育が行われることである。これらのことがらは,もち論,現在の教育において重視されているけれども,今後は,さらにウエィトがかけられることであろう。

私どもは,教育課程のねらいを達成するための根源となる学校経営,学習指導,教育相談の分野からそれぞれ問題を取り上げた。学校経営に関する研究は,学校の現職教育を取り上げ,教師が自ら職能活動の諸能力を高めるために,各学校で計画的に実施している現職研修について,今回は,県内小学校・中学校・高等学校を対象として校内で指導助言をしたい内容とこれを受けたい内容を中心として調査し,現職教育の問題の究明をしようとした。

学習指導については,継続研究として教科における学習能力の発達と授業に関する研究を行った。昨今学習指導法は非常に発達しているが,学習の主体者である子どもに対する配慮について一考を要するものがあるようだ。それは,学習指導が一貫して教師サイドですすめられ,授業において子どもが受身になっている傾向が多かったからである。子どもの潜在する諸能力を開発するためには,教師の学習指導の軌道をあまり強くしないことでなかろうか。本年度は,教科を国語・社会・算数の3教科とし授業を通じて教科における学習能力の発達について究明しようとした。

教育相談については,現代社会のすう勢を反映してか,相談ケースが非常に増加している。

それらのケースから現代っ子を見なおし,子どもの立場からその生活を導くことの必要が痛感された。このような立場から,両親や教師から見た現代の小学生像を多くの角度からとらえようとしたものである。十数項目にまたがる本県の小学生の実態を調査したものである。

以上が,本年度の紀要の大要である。研究の過程や調査の上で関係学校や関係機関に多大のご協力をいただいた。特に資料の提供に協力してくださった子どもさんをはじめ,指導された先生がた,調査に特別の協力していただいた父兄各位にも敬意を表したい。

なお,研究については,その方法・処理・解釈等に多く問題点を残しているようであるがご活用いただくと共に諸賢の御指導とご鞭鍵を切にお願いする次第である。

 昭和52年3月
 

福島県教育センター所長

 山 内 正 彌


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