研究紀要第50号 「学校経営改善に関する研究 第2年次」 -024/071page

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(3) 評価の要素

評価対象が設定されたあと,評価対象ごとにその対象を構成する中核的な事項(以下評価要素という)の設定と要素に付随してその基準を特徴づけている状況や条件に対する視点(以下評価観点という)を洗いだすことが大切である。この作業を慎重かつ綿密に行わないと評価対象が定まっても,対象の中の何をどう評価すればよいかの基準が薄れ,せっかくの評価の試みも,はじめの意図に反する結果にもなりかねない。

本研究の評価要素の設定にあたって,最も留意したことは,教育課程経営評価を動態的にとらえようとすることである。教育課程経営を動態的にとらえようとする意図は,経営をPDSのサイクルでとらえること自体が,教育課程を動態的に示しているのであるが,それとともに要素や観点を,動態を表す概念とどのように結びつけるべきかということに,鋭意努力したつもりである。

評価要素の設定にあたっては,教育課程の計画・実施・評価の全過程を予想し,教育課程経営全体の筋道と対象ごとの展開過程を分析することにより重要項目を設定し,時間の流れと関連機能の観点から図式化(流れ図化)した。次に図式化された重要題目を,計画,実施,評価に該当する項目ごとに統合・調整し,最もかかわり深く,かつ,中心的であると認められる項目を,教育課程経営の評価対象構成要素として取り上げ,評価票における評価の要素を決定する際のよりどころとした。なお,「評価の要素」の設定作業のために教育課程全体を図式化した「教育課程経営の経営分析」とそれに基づく「評価対象・構成要素」は「経営評価対象構成表」としてまとめ,後に載せてあるので参照されたい。

このようにして抽出された評価要素は,各対象ごとに計画(P),実施(D),評価(S)のそれぞれの二項目ずつに整理し,各対象ごと六つの評価要素でおさえることにした。

このことについて「教育目標の設定」を例にし,補足してみたい。

表2 「教育課程経営評価対象構成表」(一部転記)
表2「教育課程経営評価対象構成表」(一部転記)

上の過程分析から,計画(P)の評価要素として,「教育目標の認識」と「設定手順・手法」をとりあげ,ここでは,意図的に意識・認識・共通理解等の立場から要素を導き出すことにした。実際の評価にあたってはここから,次のような表現が考えられるであろう。「教育目標が教職員一人一人に認識され,設定(見直し)のための意識が高まっている。」,「教育目標の設定(見直し)のための手順・方法について共通理解が図られている。」このようにして,実施(D)では「目標設定への参加」と「教育目標の重点化」をあげ,組織的活動・機能的活動・実践意欲等の立場から考え,評価(S)についても,計画・実施と同様な方法により評価要素を設定することにした。


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