研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -001/090page

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まえがき

これからの学校教育においては,「知・徳・体の調和のとれた,人間性豊かな児童生徒を育成する」ことをめざした教育の推進を図らなければならない。

この時期において,各小・中・高等学校においては,適切な教育課程の編成・実施についての研究と実践に努力を傾け,創意ある教育活動が意欲的に展開されているものと思われる。

本教育センターにおいても,学校や教師の自発的な創意工夫と努力によって,教育の質的転換を図ることを意図し,計画的に「教育課程の実施に関する研究」に取り組んできた。

今年度は,A.言語活動中心の英語授業を進めるための一考察,B.音楽の美しさを感じとらせる指導,C.児童の家庭生活の認識と家庭科学習指導,D.TSS端末を使用した自動製図,NCテープ作成にづいて,E.生徒指導全体計画作成・改善の視点の五分野について研究を進めてきた。

中学校英語の「言語活動中心の英語授業を進めるための一考察」では,新しい時代に対応する外国語学習は,単なる言語材料理解の学習活動でなく,生きた英語としての運用につながる言語活動である。このような観点にたって3領域の言語活動について,本県中学校で使用されている教科書により指導事例をあげ研究をすすめた。

小学校音楽の「音楽の美しさを感じ取らせる指導」では,県内小学校の児童を対象に歌唱学習への興味,関心を調査し,その結果を分析することによって,歌唱指導上の課題を明らかにし,これからの指導のあり方や,改善・充実を図るための考察と歌唱指導の実際が主な内容である。

小学校家庭では,「児童の家庭生活の認識と家庭科学習指導」を取り上げ,児童の家庭生活の認識に関する実態調査と,それに基づいた調査結果の考察,及び家庭科学習指導法考究についての資料を目的としている。

高等学校情報処理では,「TSS端末を使用した自動製図,NCテープ作成について」を研究主題とし,電子計算機利用システムの一つである,TSSを使用した場合の自動製図実習システムについて,使用方法と自動製図のプログラミングと処理及びNCテープ作成と処理が主な研究内容である。

「生徒指導全体計画作成・改善の視点」では,教育課程及び教育課程外の領域にわける生徒指導の機能を明確にすることをねらいとして,中・高における生徒指導全体計画の現状を分析し,それを基礎にして,生徒指導全体計画作成・改善をいかに図るかを探求している。

以上が,今年度の研究主題並びに研究の概要であるが,これ等の課題については,新しい学習指導要領の趣旨をふまえて,ゆとりと充実をめざす各教科の課題解決の手がかりを提示し,参考に供するため一昨年から引き続き,この「教育課程の実施に関する研究」を発行しているものである。

おわりに,本紀要の作成に当たって,適切な資料を提供してくださった各小・中・高等学校と協力員の先生方に,心から感謝の意を表する次第である。

昭和58年3月
福島県教育センター所長  舟山 昇


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