研究紀要第52号 「教育課程の実施に関する研究」 -084/090page
[7] 生徒指導の校内組織・運営
生徒指導組織・運営の観点及び留意点を述べる。
○ 生徒指導部の組織は,領域に機能するのでなく,教育活動の全分野に機能するものと認識する。
○ 地域,関係諸機関との連携にかかわる係を位置づける必要があろう。非行対策の指導だけでなく,開発的指導を進めるためには,学校だけの対応だけでは不十分だからである。
○ 組織には,次のような教師を含めた構成にする。生徒指導部の機能を明確にし,有機的な働きをするためである。
・生徒指導主事
・各学年の生徒指導係
・特別活動の企画・運営等
必要に応じて,進路指導主事,保健主事,養護教諭,学年主任等を入れる例もある。
図7:生徒指導組織の位置づけ[8] 生徒指導全体計画の検討・改善における評価
全体計画も実践を通して,反省評価を加え,真に学校の生徒指導に役立つものに改善していかなければならない。評価の観点としての評価基準例を列挙してみる。
まず,評価改善の留意点を,「生徒指導計画」によって述べよう。
○ 評価基準を作成し,教師の共通理解を深める。
○ 指導記録や資料の整理・保管に努める。
○ 平素反省の機会を持つ。<全体計画の検討の観点>
ア. 生徒の実態や地域の実態を把握できるような配慮がされているか。 イ. 生徒指導方針が生かされているか。 ウ. 生徒指導上の問題点や課題が明確にされているか。 エ. 生徒の発達段階や学年の特色を生かすように配慮されているか。 オ. 全体計画作成のための委員や委員会が,校内組織の上に明確に位置づけられているか。 カ・ 全体計画作成委員会や生徒指導部は,他の部,学年,学級の教師と有機的な関連を図り,全員参加の体制がとられているか。 キ. 全教師の考え方や指導の一体化を図るための研修の機会が持たれているか。 ク. 各教科,道徳(中学校の場合),特別活動,その他の機会等において,生徒指導の進め方が明確化されているか。 ケ. 生徒指導主事が,生徒指導全般を総括し,推進できる機能と役割を果たせるよう配慮されているか。 4.おわりに
今回,全体計画の作成を取り上げたのは,中学校,高等学校の現状を見つめ,生徒指導の改善の方向をさぐろうとしたものである。中学校では全体計画が作成されているが,それをどう機能させるかが課題であり,高等学校では全体計画の作成が課題である。全体計画の基本方針,作成の方法,留意点は,中学校の改善を進めていくうえで,それを確認し,改善の視点にすることができるだろう。高等学校の場合も,作成の手順だけでなく,中学校の改善点をふまえ,それを参考にして,作成に取りかかることは有効であろう。
内容については,中学校及び高等学校にわたるので,論旨並びに用語に十分な吟味がされていない点,お許しいただきたい。
各学校が,全体計画の改善を図るうえで,参考にしていただければ,幸いである。