昭和62年度 研究紀要 Vol.17 -000-01/126page

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ま  え  が  き

 昭和62年8月の設置期間満3年をもって,四次にわたる答申を出した臨時教育審議会が,任務を終了した。臨教審が我が国の教育はこれまで,国の経済や社会・文化の発展の原動力として大きな役割を果たしてきたとしながらも,画一性・硬直性・閉鎖性等を鋭く指摘し,個性重視の原則を答申した意義は大きい。また,答申全体を通して,21世紀を迎える教育の在り方,特に教師の教育実践上の課題や,モラールないし意識の変革についての期待は,はかり知れないほど大きなものを感ずる。

 本教育センターでは,教育に対するこうした社会的要請に応じ,広く全国的な視野にたって,社会の動向と教育改革の方向を見定めながら,本県における当面する教育上の課題や,実践上の諸問題をとりあげて研究し本県教育の充実と向上に資するため,下記のようにさまざまな研究主題に取り組み,従来はそれぞれの紀要として発行してきたものを本年度から合本として刊行することとした。

 まず,学校経営部では,「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究」 …… 第1年次
 本研究は,教職員の質的向上を期して,県内における「自己啓発に支えられた校内研修のあり方」を究明するため,昭和62年度から3か年計画で行うものである。本年度は,第1年次として,研究計画の策定と県内小・中・高校の研修実態を調査し,調査結果を分析・考察して,現職研修にかかわる問題点の所在を明確にした。

 つぎに,学習指導部では,「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究」 …… 第1年次
 本研究は,基礎的基本的な内容を身につけさせる過程を通して,児童生徒一人一人の個性を生かす学習指導のあり方を追究するものである。
 昭和62年度より3か年計画の研究とし,本年度は,個性を生かす学習指導に関する理論研究及びその実態について調査研究を進めてきた。

 さらに,教育相談部では,「事例を通した教育相談の進め方に関する研究」として「非社会的な行動をもつ児童生徒への心理的な指導援助」を試みた。 …… 第2年次
 本研究は,非社会的行動をもつ児童生徒に対し,より適確で効果的な教育相談の進め方を確立するために,昭和61年度より研究に着手し,非社会的行動の背景,発生のメカニズム,指導援助の在り方を追求し,本年度の研究では「手引き」を作成し,それに基づき実践研究を重ねてきた。

 以上,3つの研究は,即実践的な中味だけに,各学校が,教育目標の具現のため,創意に満ち,生徒一人一人の個性伸長をめざす学校経営の一助となることを期待したい。尚,本研究の推進にあたり,ど多忙の中,多大のど尽力を賜わりました研究協力校及び研究協力員ならびに関係語機関の方々に心からの謝意と敬意を表する次第である。
    昭和63年3月

福島県教育センター所長  皆川 郁夫


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