平成3年度 研究紀要 Vol.21 -000-01/109page
まえがき
いよいよ本年4月から,小学校を皮切りに新学習指導要領の本格的実施の時期に入りました。創意工夫や新たな発想によって,教育課程・学習活動を充実するよう求められた学校現場では,その改善に日夜努力なされてきたことと存じます。
本教育センターにおきましても,新学習指導要領の趣旨を汲むとともに,教育の現状を踏まえながら,未来を見通す広い視野に立って,教育上・実践上の諸問題解決のための研究に取り組んでまいりました。特に近年は国立教育研究所と連携して,多様な児童生徒一人一人の生かし方を中心として各部それぞれ主題を設定して研究し,本県教育の充実と向上に資するべく専心してまいりました。
学校経営部の「個を生かす学年・学級経営に関する研究」は,児童生徒一人一人が主体的・自立的に自己実現を図れるようにするための学年・学級経営のあり方を研究するのがねらいです。第2年次の本年は,1年次の実態調査で把握した問題点の上に立って,学年・学級経営の改善策と充実策を求めるとともに,研究協力校での実践を通して基礎・基本の究明と自己実現のための援助・指導のあり方を研究してまいりました。
学習指導部では,5年次をむかえた「基礎・基本の定着と個性の伸長に関する研究」の完結を目指して研究を進めてまいりました。基礎・基本を身につけさせる過程を通して,児童生徒一人一人の個性を生かし伸ばす学習指導のあり方を実践的に追究するのがねらいです。本年は小学校体育に焦点をあて,一人一人の「よさ」を生かす手だての一層の具体化とその有効性の検証方法の工夫を,研究協力校とともに実践的に研究してまいりました。
科学技術教育部の「授業におけるコンピュータの効果的な活用に関する研究」は,児童生徒の主体的な学習活動を支援する道具としてのコンピュータの活用のあり方を研究するのがねらいです。前年度の実態調査や基礎研究の上に立って,小学校(理科),中学校(数学),高等学校(家庭)の各校種別に教科をかえて,研究協力校のご協力のもと実践的に研究を進めてまいりました。
第2年次をむかえた教育相談部のプロジェクト研究は,「事例を通した教育課程の進め方に関する研究」ですが,これは後手にまわりがちな教育相談の現況から一歩進んで,先手をとってより効果的に教育相談を実施しようとする「開発的な指導援助のあり方」を追究するものです。本年は1年次でまとめた基本的対応のあり方をさらに具体化し,より効果的でより実践的な指導援助のあり方にするため研究を続けてまいりました。
本紀要は,以上4部の研究内容をまとめたものでありますが,いずれも理論的基盤の上に立って実践的に研究したものであり,各学校の教育活動に資するものと考えております。書籍の間に埋もれさせることなくご活用下さるようお願いいたします。
最後に,本研究に誠心ご協力ご尽力下さいました研究協力校,研究協力員の方々,並びに関係諸機関の皆様に心から感謝申し上げます。
平成4年3月
福島県教育センター所長 宮 島 守 之