平成4年度 研究紀要 Vol.22 -000-01/117page

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ま え が き

 平成4年から,小学校を皮切りに新学習指導要領の本格的実施に入りました。創意工夫や新たな発想によって,教育課程・学習活動を充実するよう求められている学校現場では,その改善に日夜努力されてきたことと存じます。

 本教育センターにおきましても,新学習指導要領の趣旨を汲むとともに,教育の現状を踏まえながら,未来を見通す広い視野に立って,教育上・実践上の諸問題解決のための研究に取り組んでまいりました。特に近年は国立教育研究所と連携しながら,多様な児童生徒一人一人の生かし方を中心として各部それ,ぞれ主題を設定して研究し,本県教育の充実と向上に資すべく専心してまいりました。

 学校経営部の「個を生かす学年・学級経営に関する研究」は,児童生徒一人一人が主体的・自立的に自己実現を図れるようにするための学年・学級経営の在り方を研究するのがねらいです。第3年次の本年は,2年次研究で明らかになった個を生かす学年・学級経営のための「4つの視点」の有効性を基として,その具体化の方法と実践上のさまざまなアイディアの開発をもとめて研究してまいりました。

 学習指導部では,新学習指導要領の趣旨を踏まえ,「一人一人の個性を生かす評価の在り方に関する研究」に取り組みました。新しい学力観に立った学習活動と評価の問題は,学校現場でも大きな課題となっていることでしょうが,研究初年度の本年は,基礎理論の研究と研究仮説に基づいた実践を通して主題追究を図ってまいりました。

 科学技術教育郡では,斯学習指導要領に新たに加えられた学習内容を中心として,児童生徒が自立的・主体的に学習しうる教材を開発すべく「児童生徒の創造性を高めるための教材開発」を主題に設定いたしました。身近かな素材の中から興味関心をひき出し,意欲的な発展的学習が可能な教材の開発を2年計画で実施するもので,本年は初年度の研究をすすめてまいりました。

 第3年次をむかえた教育相談部のプロジェクト研究主題は,「事例を通した教育相談の進め方に関する研究」ですが,これは,ともすると後手にまわりがちな教育相談の現況から一歩踏み出して,多様な児童生徒一人一人の人格のより健全な育成をめざした「開発的な指導援助の在り方」を追究するものです。本年度は,1・2年次での研究をより深めるとともに,研究協力校での実践を適してより効果的な開発的指導援助の方法を研究してまいりました。

 本紀要は,以上4部のプロジェクト研究の内容をまとめたものでありますが,いずれも理論的基盤の上に立って実践的に研究したものであり,各学校での教育活動に資するものと考えております。これらの研究を応用されるなり,発展的に工夫されるなりしてご活用下さいますようお願いいたします。

 最後に,本研究に誠心ご協力ご早力下さいました研究協力校,研究協力員の方々,並びに関係諸機関の皆様に心から感謝申し上げます。

  平成5年3月

福島県教育センター所長 宮 島 守


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