研究紀要第97号 「福島県における「学力向上」に関する考察」 -004/156page

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センター試験 文系・理系比較
県名 順位 総合文系 順位 総合理系 順位 英語文系 順位 英語理系
福島 43 485.8 41 505.5 43 96.1 37 93.0
全国平均   507.1   518.2   100.6   96.6
県名 順位 数学文系 順位 数学理系 順位 国語文系 順位 国語理系
福島 41 121.5 42 138.8 26 134.5 20 128.6
全国平均   128.9   148.1   134.9   128.1

4 男女別比較

 全国的に見た場合,総合点で一般的に男子の得点が高く,素点で平均7.5点の開きがある。それに対して女子優位の県は8県にすぎない。

 本県の受験者を男女別に分け,5教科総合,英語,数学,国語のそれぞれについて男女別に順位を並べると下の表のようになる。

 男子数学,女子英語の成績が低いことが分かる。また,5教科総合での男女の得点差は,3.1点であり,これは男子優位県のなかの34位にあたる。他県に比較して,男子の成績が振るわないということはできよう。

センター試験 男子・女子比較
県名 順位 総合男子 順位 総合女子 順位 英語男子 順位 英語女子
福島 45 495.8 41 492.7 34 95.1 46 94.5
全国平均   514.9   507.4   97.9   100.1
県名 順位 数学男子 順位 数学女子 順位 国語男子 順位 国語女子
福島 46 131.2 42 127.6 19 129.7 17 137.2
全国平均   142.0   133.6   129.2   136.4

5 目標値シミュレーション

 47都道府県の成績を偏差値化(母集団を47都道府県とする)して,目標値をシミュレーションした。

 もしも,本県の高校生が,センター試験順位に関して,全国平均,もしくは平均を若干上回る成績をおさめようとするなら,このシミュレーションで偏差値2向上することが必要になる。

 では,偏差値45〜55,ないしは60程度の生徒に対して特別な指導を施し,その30〜50%が偏差値3上がったとしたらどうであろうか。

 下の表は,その場合の全国順位と,平均的な難易度の国公立大学への合格可能者数のシミュレーションである。順位は若干上がり,合格可能者の数も増えるが,その数は,進学率を1〜2%押し上げる程度にしかならないことが分かる。

全国順位のシミュレーション例
  5教科総合 英語 数学 国語
平成6年成績 45位 44位 44位 18位
全データが偏差値2上昇 23位 15位 20位 3位

大学合格者数の推移予測
  (500〜600点) (600〜  点)
平成6年の人数 1135 人 382 人
偏差値 45-55 データの 30% が 偏差値 3 上昇 1242 (+107) 382 (0)
偏差値 45-60 データの 50% が 偏差値 3 上昇 1206 (+ 71) 501 (+119)

 センター試験結果に見る本県の高校生の学力の状況は,もちろん,本県の高校生の一部の,そして,総合的な学力の中の知識・理解を中心とする一部の学力の状況を示すものである。

 しかし,新しい学力観が,学習する可能性を高めることのできる能力(生きて働く力,発展する学力)を重視し,児童生徒の主体的で根源的な学びの力を育てようとするものであるならば,その結果の一つとして進路実現を可能にする学力もまた,相応に育成されると考えられるのである。

 その意味で,センター試験の結果もまた,謙虚に受けとめ,学力の向上を目指す指標の一つとして参考にしなければならないであろう。

註1) 平成6年,旺文社調べ。以下,センター試験の成績集計については,同社資料による。
 なお,5教科総合については,これを素点でみると,全国平均516.8に対し,本県は494.7と,約22点低い。1位県は,555.5点である。


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