研究紀要第119号 「情報ネットワークの教育活用に関する研究」 -071/117page
情報ネットワークの教育的活用に関する研究
情 報 教 育 部
社会の情報通信化が進み,現在情報機器のネットワーク化を考えずに情報教育を語ることはできなくなっている。また,教育情報の有効活用を進めるためには,各学校や教育関係機関のネットワーク化を図り,お互いの情報を共有したり,情報の提供サービスを行ったりすることが緊要の課題となっている。 このような現状を踏まえ,各学校における教育活動や教職員の研究・研修等の支援をしたり,教育関係機関との連携を図って充実した教育用データべースを構築したりできるような研究を進めることとした。 具体的な研究テーマは次の2つである。 ○ 情報ネットワークの教育的活用 ・ データ集計システムの開発 ・ 教師を支援するデータべースの構築 ○ 授業の中で手軽に活用できるソフトウェァの開発 1 研究についての基本的な考え方
情報教育とは,情報活用能力の育成であると言われる。また情報活用能力の育成は高度情報通信杜会に生きる児童生徒にとっての「生きる力」を育てることでもある。「生きる力」を育てるために,課題解決型の学習が有効であると言われているが,課題を見つけその課題を解決するための情報を収集・整理・発信する力を育てるためには,情報機器やネットワークの活用が大きな力を発揮することとなる。
そこで本研究では,ネットワーク上で利用できる教材の開発や,それらを利用した授業の改善に視点を当てた情報ネットワークの教育的活用についての研究とスタンドアロンタイプ(ネットワークを利用しないコンピュータの利用形態)でコンピュータを授業で活用するための教材ソフトウェアの開発についての研究を進めることにした。
2 「情報ネットワークの教育的活用」の背景となるインターネット技術
通常のインターネットホームページは,送り手があらかじめ準備した情報を訪問者に提供するだけであるが,ホームべージにCGIプログラムを取り入れれば,送り手と受け手の双方向のコミュニケーションの実現が可能となる。CGIとはCommon Gateway Interface の略で,インターネット上でコンピュータ同士やプログラム間でデータをやりとりするための取り決めの一種である。
通常のインターネットホームページの作成には,HTML(Hyper Text Markup Language)という言語が多く使用される。ブラウザ(ホームページを見るためのソフト)のアドレスバーにURL(ホームべージのアドレス)を入力すると,プラウザはリンク先のサーバーに目的のファイルを送るように要求を出す。サーバーは要求されたファイルを自分のコンピュータ内から探し出し,それを要求のあったブラウザに向けて送信する。通常,ホームページはこのような手順を経て私たちのもとに届けられる。
一方,CGIを使ったホームべージが送信されてくるまでの手順はHTMLファイルとは異なっている。インターネットのホームページ上でよくある電子掲示板を例として説明する。利用者がプラウザ上の掲示板に何らかの文章を入力して送信ボ