研究紀要第131号 「情報ネットワークの教育的活用に関する研究」 -050/074page

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Linuxによる教育用イントラネットサーバの構築

1 研究の趣旨


 学校にインターネットが導入され,情報ネットワークの教育的活用の研究が一層進められているところであるが,有効利用を高めるためには,児童生徒が一斉にインターネットを利用できる校内LANの整備は不可欠である。

 LANにおけるネットワークの種類は,コンピュータ同士を対等の立場で接続する「ピアツーピア型(peer to peer ※peer=同格)」と,ネットワークに参加する各クライアント(コンピュータ・ユーザ)の管理,ファイル・プリンタ等の共有資産の管理を1台(または複数)のコンピュータ(サーバ)に管理させる「クライアント・サーバ型」に二分される。

 ピアツーピア型のネットワークではNIC(Network Interface Card:LANカード)とケーブル,ハブ等の最低限の機器を導入し,簡単な設定をすればファイルやプリンタを共有できるネットワークの構築が可能である。しかし,ファイルの保護等のセキュリティが皆無に等しく,パスワードを設定しても簡単に解読される危険性がある。また,プリンタを共有した場合,プリンタが接続されているコンピュータに印刷データのスプールが集中し,そのコンピュータの処理能力低下の原因となり,最悪の場合はメモリ不足などによるフリーズを引き起こすこともある。2〜3台で運用する場合には費用面や手軽さ等からみればピアツーピア型は有効であるが,学校のコンピュータ室のように数十台のコンピュータが接続されるような環境下では,ファイル・プリンタ共有等のサービスをサーバに一括処理させるクライアント・サーバ型が,ネットワーク全体のセキュリティおよび処理能力向上には望ましい。

 本研究では,イントラネット内で掲示板やアンケート等のCGIを動作させることのできるWebサーバ(ホームページを管理するサーバ)を構築する上で,複雑な設定操作をできる限り簡略化すること及び費用を最小限に抑えることをねらいとし,研究主題を設定した。

※ 参考

 CGIについて

 Common Gateway Interfaceの略。HTMLでは不可能な双方向のWebページを実現できる。代表的なものとしては,掲示板・アクセスカウンタがある。

2 研究の内容


1 開発の基本方針

 本研究ではクライアント・サーバ型ネットワークの核となるサーバの構築を手軽に行うために,次の2点に留意して開発することとした。

(1) サーバ導入の費用低減

 サーバを導入するには費用面の負担が大きい。そこで,サーバ専用ではない一般的なDOS/Vコンピュータ(以下DOS/V機)をサーバとして運用できないかと考えた。Windows2000/NT Serverや商用のSolaris等のUNIXではなく,LinuxをOS(Operating System:基本ソフト)として用いることとした。

 LinuxはUNIX互換のOSといわれており,商用UNIXとほぼ同じ環境を構築できる。また一部の商用パッケージを除いて無償で配布されているので費用はまったくかからない。さらに,最低限必要な動作環境が1世代以上前の機種でも十分に満たすので,ハード面の費用も比較的かからない。

※ 参考

Vine Linux2.0の最低必要な動作環境
  CPU:Pentium 1OOMHz
  Memory:32MB HD:600MB
  Windows95がストレスなく動作する程度

(2) サーバ設定の簡素化

 LinuxのインストールはWindowsのインストールの経験があれば比較的容易にできる。その反面,インストールができても,各種サーバとして運用するためには,数多くの設定ファイルを書き換える必


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