福島県教育センター所報ふくしま No.90(H01/1989.2) -034/038page

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東北センターだより

東北・北海道地区教育センター協議会発表大会から(概要報告)

○ 昨年9月29日〜30日に「あづま荘」を会場にして実施されました。総員71名の参加でした。今回の「教育センターだより」は,この中から 「各教育センター研究動向紹介」 として,その概要を報告してみます。

○  第1日日「共通主題研修会」 第1分科会では,

ア 授業過程におけるコンピュータ機能の活用法(山形提案発表),イ 基礎・基本の定着と個性の伸長に関する指導法(福島提案発表)に基づいて研究協議がなされた。

○  山形県教育センターからは,望ましい学習ソフトの開発 に努力し,この2年間に高校教材を中心に10本の学習ソフト(・国際社会のしくみ ・ブックの思想(以上現代社会) ・2次関数の最大最小 ・無理関数 ・正弦定理(数学) ・ばね振子 ・ドップラー効果 ・光波(物理) ・Protectivecolors ・Global lnterdependence(英語)を開発し実践研究した内容が発表された。注目できるのは,ア コンピュータによる学習は生徒の学習意欲を向上できる。イ 教材作成支援システム(FCAI)を使うと学習ソフトは容易に作成できる。ウ 学習ソフト設計が十分になされていれば,学習過程のどの部分でも活用できること等の証明であった。市販のソフトから教師自らの手によるソフト開発研究が今後の大きな課題だけに,タイムリーで示唆に富む発表であった。

○  福島からは「基礎基本と個性化」の問題 にとりくんでいる実践研究第2年次内容が発表された。当教育センターでは,基礎的・基本的な内容を「知識・理解・関心・態度・ジェクタビリティー(判断力,表現力,創造力,思考力などの能力を表す造語)」とし,個性の構成要素を「知識・技能・興味・関心・意欲・学習適正・意識・態度」とおさえ,基礎・基本を身につけて行く過程の中で個性も伸長すると考えて実践研究を続けているが,各県からその成果と基礎資料の提供を期待されている。現在,一斉指導における個別化(本時到達目標は同一で,学習方法を個々に応じて多様化する)については,かなり深い実践研究がなされているが,この「個性化」についてはまだまだ明解でないだけに,各県から鋭い意見交換がなされた。

○  第2分科会は,生徒指導問題, 特に不登校児が各県とも増加傾向にある現在,本県提案発表内容を基にして活発にその援助指導のあり方・進め方について協議された。その中で当センター教育相談部発刊の指導援助の手引「先生はカウンセラー」が注目をあびた。

○  第二日日は,各道県が現在実践研究 している研究内容についての 研究発表大会 が持たれた。本県教育センターからは,ア「データベースによる教育資料・図書検索システムの開発」,イ「自己啓発を促す校内研修のあり方・すすめ方」,ウ「教育相談における行動療法の活用」,エ「自己教育力を高める指導」を発表した。その他,青森県教育センター,宮城県研修センター,岩手県総合教育センター等からの発表があった。

○  今回の協議会・研究大会のまとめ として,国立教育研究所指導普及部長 川野辺敏先生の 講演「当面するわが国教育の課題」 があった。

 先生はこの中で,現在どこの国でも教育改革がせまられている。教育の問題を考えるとき,社会と学校は不離であるので,社会の変化にどう対応していくか,これこそが大きな課題だとして,次の内容項目で広い視野と深い識見から,具体的に日本の教育現状について論ぜられた。

(1)社会の変化に対応する教育の3つの視点−

ア 創造性・主体性の育成 イ 新しい教育主題への着目 ウ 国際社会への着目

(2)変化への対応の基礎− ア 基礎・基本への着目 イ 教育と労働・生活の接近 ウ 人格の形成

(3) まとめに。・・・・(紙面の都合で講演の具体的内容を紹介できなかった。講演趣旨については当センターでまとめてありますので,ご希望があれば,ご連絡ください。)

(文責 学校経営部 三津間 安宏)


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