福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.134(H13/2001.11)-000_02/036page
目で見る資料 水中の微生物をふやしてみよう ‐ゾウリムシの培養‐ 教育センター科学技術教育部
ため池や水たまりの中には微生物がたくさんいますが,密度が小さいためにルーぺや顕微鏡で観察してもなかなか見つけられません。そんなときには,水の中の微生物をふやしてから観察してみましょう。微生物を見つけやすくなり,観察が楽しくなります。
ここでは,代表的な微生物であるゾウリムシのふやし方と観察のしかたについて紹介します。
ゾウリムシ1 ゾウリムシについて
ゾウリムシは,少し汚れた水ならどんなところにもいます。培養もしやすく,微生物の中では大型で,ルーぺや顕微鏡で簡単に観察できます。
2 ふやし方
@ 培養液をつくろう
ペットボトルにミネラルウオーター,または,くみ置きした水を400ml程度入れます。これに,ビール酵母胃腸薬(エビオスなど)を1錠,または,栄養食品飲料(カロリーメイト流動タイプなど)を10滴(0.5ml程度入れ,培養液とします。
ワラを煮出した汁も培養液になります。
A ゾウリムシを採取しよう
よどんだため池や側溝の少し汚れた水たまりの,表層の水を10ml程度汲み取ります。
B ふやしてみよう
Aで採取した水を培養液に加え,アルミホイルでふたをして,日光の当たらない室内におくと1〜2週間でふえます。培養液の上部が澄んできたら,光にかざしてみましょう。泳いでい るゾウリムシがキラキラと輝いて動いているのを確認できます。
3 顕微鏡観察のしかた
培養液を1滴,ホールスライドガラスの上に採りカバーガラスをして,顕微鏡のステージにのせます。
はじめは低倍率で,次に100〜400倍程度にして,顕微鏡のしぼりを絞って観察すると,細胞表面の繊毛の動きやからだの中の粒子の動きを見ることができます。ゾウリムシが動いて観察しにくいときには,スライドガラス上の培養液に,液状の透明な糊を1滴加え,カバーガラスをした上で観察すると運動がゆっくりになります。
教育センターでは,ゾウリムシをはじめ,ミドリゾウリムシ(緑色をして小型,きれな水にすむ)やブレファリスマ(紅色をして大型,動きが遅い)などを培養し,教材として提供しています。気軽に問い合わせてください。