ふくしま海洋科学館学習指導の手引き -041/097page

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 地質時代の生物の遺骸(遺体)や生活した痕跡を「化石」といいます。「生きた化石」とは、 地質時代から例外的にゆっくり進化して、先祖の形態を残している生物をいいます。 このコーナーでは過去に繁栄したものの、現在では細々と生き残っている水の中の「生きた化石」 を紹介しています。

(3)単細胞生物から多細胞生物へ

 地球に最初の生命が誕生した後、約20億年以上は、1つの細胞からできている単細胞生物の時代が続きました。最初の多細胞生物が出現したのは今から約10億年前といわれています。そして、多細胞生物が出現するとさらに進化が進み、より高度な生物が現れてきました。今から約6億年前の古生代・カンブリア紀に「カンブリア爆発」と呼ばれるほどの生物の急激な多様化が起こり、さまざまな種類の無脊椎動物たちが繁栄しました。

 化石として発掘される三葉虫や生きた化石のオウムガイの先祖もこの頃に出現しました。

画像 ▲三葉虫の化石(古世代 シルル紀)
▲三葉虫の化石(古世代 シルル紀)

(4)魚類の進化の過程

 進化の過程で一番初めに現れた脊椎動物は、古生代・カンブリア絶後期に出現したプテラスピスやヤモイティウスなどの顎を持たない魚類「無顎類」だと考えられています。この魚は工サをとらえる顎がなかったために海底近くの泥の中から食物を吸い上げたり、プランクトンを食べることしかできませんでした。無顎類で現在まで生き残っているクループは、メクラウナギとヤツメウナギの2グループだけです。

 やがてシルル紀になると顎を持つ魚類が現れ、シルル紀からデボン紀にかけて魚たちの多様化が起こり、さまざまな形の魚たちが現れました。その後、軟骨魚類と肉鰭類(にくきるい)、条鰭類(じょうきるい)の3つに別れて進化か進みました。

 現在見られるほとんどの魚は条鰭類に分類されます。

画像 ▲海・生命の進化
▲海・生命の進化

(5)水中から陸上へ

 デボン紀後期になると、水の中で繁栄していた生き物たちは、陸上へと生活域を広げはじめました。

 初めに、上陸したのはクモなどの節足動物の一部や貝類などでした。続いて、魚類のうち、シーラカンスや肺魚などが含まれる肉鰭類と呼ばれるグループの魚からイクティオステガのような両生類が進化したと考えられています。

画像 ▲シーラカンスの化石(古生代ペルム紀)
▲シーラカンスの化石(古生代ペルム紀)

画像 ▲シーラカンスの稚魚(JLBスミス研究所所蔵)
▲シーラカンスの稚魚(JLBスミス研究所所蔵)

画像 ▲プテラスピスの化石(古生代 デボン紀)
▲プテラスピスの化石(古生代 デボン紀)

画像 ▲プテラノピス(復元模型)
▲プテラノピス(復元模型)


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