県立船引高等学校 書技ライブ |
時間:
11分05秒
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フジタさん、どうしたんですか?今の踊り、本当に私たちと同じ高校生なんですよね。そうですよ。素敵だったですねぇ。やってみたいんじゃないですか本当は、フジタさん。いや、ていうか、ただただ憧れの一言です、はい。フジタさんはすっかり酔ってる状況ですが、ここで少し、気持ちを引き締めてもらいますよ。え?鉢巻きを締めてもらいます。は、はちま、え?なんですか、それは。精神統一です。大和魂です。大和魂?なんなんですか、いったい。これですよ。え、お掃除するんですか、こんなとこで。お客さんの目の前で掃除してどうするんですか。書ですよ、書! あ、分かりました。船引高校書道部のみなさんの書技ライブですね! 今日はみなさんの目の前で、大きな紙に大きな字を書いていただきます! でも、公開の場で精神統一をするって、難しそうですねぇ。そうなんですよ。この書道部のみなさんは、日頃そのための鍛錬を続けているということです。それでは始めていただきましょう。船引高校、書道部のみなさんです。題して「ダイジショの魅力」。イシイユカです。「笑顔」と書きました。いつも笑顔を絶やさず、平和な世界でありますようにと願いを込めて書きました。グンジヒロミです。「感謝」と書きました。友人や家族への感謝の気持ちを大切にしていきたいと思います。ヨシダマユミです。「永遠」と書きました。笑顔と感謝の気持ちを永遠に忘れることなく生きていきたいです。ありがとうございました。船引高校書道部のみなさんの書技ライブでした。 |
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県立小名浜高等学校 演劇 |
時間:
1時間00分21秒
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次は演劇ですね。僕もフジタさんも演劇部で活躍していますから、このプログラムはとっても楽しみですね。そうですね。先月行われた福島県高校演劇コンクールで最優秀賞を受賞した作品なんですけれども、今月22日から宮城県の高城市で行われる東北大会に、内郷高校とともに、県代表として出場することになっているんです。福島県の演劇のレベルはとっても高いですから、東北大会でも好成績が期待できるんじゃないですか?過去にも2度全国1位の実績もありますしね。ええ、その2度のうちの1度が、今回上演する作品の作者である、イシハラテツヤさんの脚本だったんです。イシハラテツヤさんはペンネームなんですけれども、顧問の先生なんですね。全日高の湯本高校時代に、「俺たちの甲子園」という作品で、日本一になっているんです!すごいですよね。小名浜高校は、僕たち演劇をやるものにとっては、ある意味で目標ですよね。そうですね。私たちも同じ高校生として、がんばらなきゃ、って思いますね。改めて紹介しましょう。イシハラテツヤ作「チェンジザワールド」。上演は小名浜高校演劇部のみなさんです。それでは、じっくりと見せていただきましょう。客席の明かりを消していただいて、演劇の開幕を待つことにします。なんだよ先生頼みって。うん、いま話すけどさ、その前にねキタザワ、あー、ちょっと座って。キタザワもヒラヤマもさ、ヤマザキに引っ張られてるんじゃないのかな。イジメもさ、ヤマザキにつきあってさしょうがなくてやってるんじゃないの?そんなことねえよ。ヤマザキはみんなに怖がられてるんだってね。怖いのあんた達でも…いい加減にしろよ先生。友達だよ俺たちは。ヤマザキは3年生の悪い連中とも繋がってるんでしょ?関係ねえだろそんなこと!それよりなんだよ頼みって。ああ、そうか。そうだったね。あのね、見舞いに行って欲しいのよ。入院してるヤナギのところへ。俺が?なんで。ヤナギは転校してきてまもなく入院してしまったでしょう。だからクラスメートと言っても、ほとんど知らないのよね御互いに。俺だって知らないよなんにも。んー、それでね、このあいだ私が見舞いに行ったときにね、聞いたのよヤナギに。今度のお見舞いは、クラスの誰に来てほしいかって。そしたらキタザワくんがいいって言うのよ。なんだよそれ、気持ちわりいなあ。先生、もしかしてヤナギってそういうケがあるんじゃねえの。いやだよ俺。違うわよバカねえ。そうじゃないわよ。あのね、ヤナギが転校してきて間もなく、球技大会があったよねえ。同じチームだったんでしょ、ヤナギくん。あー、そうだ。あいつバスケに出てさ、けっこう上手かったんだよな。あいつのおかげで準優勝したんだよ俺たち。あのとき、試合中にヤナギが相手の選手とぶつかってさ、殴られそうになったんだってね。ああ、まあね。あんたヤナギをかばってさ、相手を殴って、退場になったんだってね。ていうか、あれは完全に相手がわりいんだよ。ヤナギが上手いから徹底的にマークしてきてさ、自分からぶつかったくせにヤナギに文句つけてきたんだよ。ヤナギはさ、言ってたよ。自分のために喧嘩してくれた友達は初めてだって。そのあと、あんたが退場した後ね、試合中ずっと涙流しながら走ってたんだって。嬉しくて。だから、どうしてもキタザワに会って、一度お礼が言いたいんだって。別によ、俺、あいつのために喧嘩したわけじゃねえよ。でもいいじゃない。ヤナギがそんなに喜んでるんだから。だから見舞いに行ってやってよ。ね、いいでしょう?いいよ、遠慮するよ。どうして。とにかく、1度だけでいいから行ってやってよ。先生からもお願い。ね、キタザワ。分かったよ。そのうち暇があったら行ってみるよ。それじゃダメなのよ。できたら明日にでも行って欲しいのよ。なんでだよ。時間がないのよ。だからなんでだよ!ヤナギは癌なの。長くて半年しかもたないんだって。そっか、ヤナギは癌なのか。誰にも言うなよヒラ。ああ、分かってるよ。しっかし、かわいそうだよなあ。行くのか、見舞いに。まあ、行くしかねえだろな。行ってやれよショウちゃん。ボランティアだよボランティア。第一、ショウちゃんはヤナギを助けた正義の味方だもんな。かっこいいよなあ。んな、冗談じゃねえよ。俺はさあ…ヒラ。電話しヤスカワ。え?電話だよ。ヤマちゃん。あのさ。まだちょっとやばいんじゃねえかな。謹慎終わってまだ一週間だしよ、今度チクられたら間違いなく停学だぜ、ヤマちゃん。大丈夫だよ。ちゃんと痛めればチクらねえよ。この前は少し痛め方が中途半端だったんだよな。もっと完全に痛めれば、チクる元気もなくなるんだよ。そういうもんかな。そういうもんだよ。な、いいだろショウちゃん。よし、やるか。あの野郎、センコウにチクりやがってよ。どっちにしろこのままじゃ済まされねえもんな。よし、やるか。ヒラ、電話。よっしゃ。だけどさ、あいつ、もう携帯出ねえんじゃねえの。今日体育の時間によ、携帯に出なけりゃどうなるか、ちゃんと教えてやったからよ。大丈夫だよ。さっすがあ。どうも、ヤナギくんいますか。ヤナギくんいますかあ!はい、どうぞ。ああ!キタザワくん、来てくれたんだ。おう。先生がさ、ちょっと行ってみろって言うし。俺もちょっと来てみたかったんだ。で、どうだ、元気か。うん、まあ。あー、そっか。元気じゃねえな、入院してるんだもんな。うん。でも今日はけっこう調子がいいんだ。ああ、座って座って。ああ、いま聴いてたの、クラプトンじゃねえか?うん、そう。キタザワくんも好きなの、クラプトン。うん、あんまり詳しくはねえけどさ。なんて曲だ、いまの。チェンジザワールド。ああ、そうか。ああ、これがそうか。いい曲だよな。うん。キタザワくん、頼みがあるんだけどいいかな。ああ、いいけど、何?俺とさ、親友になってくれないかな。え?実はおふくろがさ、転校したせいで友達もいなくて可哀想だ可哀想だってうるさいからさ、俺にはもうキタザワっていう親友がいるって言っちゃったんだよ。おふくろ今洗濯してるんだけど、すぐここに来るからさ、来たら話合わせてくれないかな。なんだ、ああ、そうか。はは、びっくりしたあ。え、どうしたの?ああ、いや、なんでもない。そんで、その、親友ごっこをやればいいんだろ。うん、頼むよキタザワくん。親友ごっこか。いいな、それ。そうなると、キタザワくんはねえだろ。ショウちゃんにしろよ、ショウちゃん。ああ、そっか、そうだよね。親友だからね。じゃあ頼むぜショウちゃん。おお、うまいうまいうまい。ヤナギくん、■■よ。なんか楽しそうね。うん、■■。あ、母さん。これ、いつも話してるキタザワショウヘイくんだよ。ああ、あなたがキタザワさんですか。ケンイチは、いっつもあなたのこと話してるんですよ。ああ、そうですか。ほんとにケンイチがお世話になったそうで…なに言ってんだよ、母さん。■■。ショウちゃんおふくろはさ、俺にはショウちゃんという親友がいると何度言っても信じなくてさ。だから言ったろ、母さん。俺もね、ヤナのことはずっと気になってたんだけどね。放課後は毎日バイトとかあるもんだから、なかなか見舞いにこれなくて悪かったよ。いいんだよ、そんなこと。そっか、バイトかあ。俺はさ、ショウちゃんまたタバコ見つかって謹慎食らってるのかと思ってたよ。馬鹿野郎、変なこと言うなよヤナ。それじゃまるで俺が不良みてえじゃねえかよ。あれ、違うの。馬鹿野郎。ああ、こらこら。病院だよここは。すみません。でも、ケンイチのこんな顔見たのは、わたし初めてで。よかったねケンイチ。ケンイチ、お母さんちょっとジュースでも買ってくるから。ああ、こちらは主任看護婦のオイガワさんだよ。どうも。36度、あっ。なんかさ、さっきからさ、あんたたちのセリフ、芝居っぽくない?え?とにかく、あんまり騒いじゃダメよ。それから、面会は30分以内。いいわね。はい、分かりましたあ。なーんか怪しいなあ。ほら、なに騒いでるの。ここは病院だって言ってるでしょ。キタザワくん、うるさいからね、はっきり言って。毎日来てくれるのはいいけど、静かにね、静かに。はい、すいません。ヤナギくん。はい。あんまり張り切ると、疲れが出て後で苦しいからね。無理しちゃ駄目だよ。はい、すいません。じゃあヤナ、俺そろそろ帰るわ。いいわよまだ帰らなくたって。いいの?いいわよ。でも、あと20分。そして静かに。いいわね。はい、分かりました。はい、分かりました。でさ、さっきの話の続きだけどよ、ヤナ、お前よ、死ぬ前にさ…あはは、なんだよ、どうってことないだろ。俺、癌なんだし、いつ死んでもおかしくないんだから。だから、全然気にしなくていいよショウちゃん。誰にも隠すわけにはいかないよ。薬で髪の毛も全部抜けちゃったしさ。現実だよこれは。だから、気にしなくていいよ、ショウちゃん。いや、よくねえよ。癌は癌だけど、ちゃんと治るって医者も言ってるんだろ。治るよ絶対。だから、そういう意味で言ったんじゃなくてよ。要するに、今どうしてもやりたいことはなんかねえかって、聞きたかったんだけどさ。うん、分かってるよ。3つあるか。3つもあるのかよ。うん、死ぬ前にやりたいことが、3つある。そういう言い方するなよ。冗談だよ。冗談にならねえんだよ、そういうのは。あそっか。ごめん。いいから言ってみろ、その3つ。んー、じゃあ第3希望から言うからね。いいから早く言え、早く。第3希望はね、もう一度だけバスケやりたい。ショウちゃんといっしょに。そっかあ。バスケかあ。でも、それは病気が治ればできるじゃん。2番目は?えへへ、第2希望はね、ちょっと人には言いにくいなあ。おお、なんだ、言ってみろよ。おら、言ってみろ言ってみろ。そういうのを待ってたんだよ、俺は。ええ?いいから言ってみろって。絶対に人には言うなよ。そっか、やっぱりねえ。ふうーん。キスかあ、キスねえ。おい、ショウちゃん!ああ、分かった分かった。とりあえず最後まで聞こう。それで、第1希望は?いいよ、第1は。いいよじゃねえよ、言えよ早く第1希望。いや、それは誰にも言えないことなんだよ。だから、第2希望からでいい。分かった。ああ、これは俺が悪かった。いやー、悪かった。なんだよショウちゃん。なんでショウちゃんが悪いんだよ。第2希望がキスなんだからよ。第1希望はアレに決まってるよな。なんだよ決まってるって。馬鹿野郎、俺に言わせるなよ、このスケベ。あー、違う違う、違うよショウちゃん、全然違うことなんだ。マジで?うんマジで。じゃあなんなんだよ、イライラすんなもう。あー、ごめん。悪かった。これは誰にも言えないことなんだよ。だから、第1希望はおいといて、第2希望を第1希望にしてくれないかな。な、頼むよショウちゃん。ややこしいこと言ってんじゃねえよまったく。よし、じゃあキスの話に戻ろう。キスしたことねえのか、一度も。うん、ない。そっか。とりあえず、俺でよかったらやってみるか。冗談だよ。さーてと、キスねえ。キス。あ、まず、相手だよな相手。おいヤナ、誰かキスしたい相手はいるのかよ。いる。おお、いるか。誰だ誰。おら、言ってみろ言ってみろ。お前、まさかレイコじゃねえだろうな、3組のカミシマレイコ。あれ、そんな人知らないよ。ああ、そっか。ならいいけど。ショウちゃん好きなのか、その人のこと。いいんだよそんなことは。それより誰なんだ、ヤナのキスしたい相手は。サンノミヤさんかなー、なんつって。ええ、あの、学級委員のサンノミヤカズコ?どうしてそんなに驚くんだよ。いや、別にサンノミヤに問題はねえけど。なんだよ、はっきり言えよ、気持ち悪いな。つまり、非常にこういうことを頼みにくい相手というか、たとえて言えば婦人警官をナンパするような感じだな。この前、クラスの代表で見舞いに来てくれたんだよ。それで一目惚れか。ていうか、他に知らないしね。よし、わかった。とにかく何とか俺が頼んでみるから。任せろ、な。でも無理なんだろ、そんなこと。サンノミヤとは小学校から一緒でよ、俺がサンミヤー、サンミヤーって言うたびに「サンノミヤです」っていう気の強い奴でさ。だけど小学校のとき1度、俺いじめられてるあいつを助けたことあるからさ。まあその辺を利用しよう。頼んでみるから、な。そうか、やっぱりな。なんだよ。やっぱりショウちゃんは小さいころから正義の味方だったんだよな。馬鹿野郎、そんなことねえよ。いや、そうだよ絶対。違うって言ってんだろ。ショウちゃんみたいな人ばっかりだったら、世の中変わるんだけどなあ。いいかげんにしろ!なに怒ってんだよショウちゃん。別に怒ってなんかいねえよ。いや、怒ってるよ。それよりキスだよキス!ちょっとショウちゃん、なんでそういうこと大きい声で言うかな。しかしよ、なんて言ってもサンミヤだけじゃ可能性がかなり低いからさ、もう一人くらい予備が欲しいな。予備?補欠だよ。サンミヤがダメだったときのための補欠。そんな補欠だなんてそんな失礼なことできないよ、俺。しかしよ、男はたった一人しか女を好きにならねえってわけじゃねえからな。もう一人くらいいるだろ、好きな人が。ん、いるだろ。いる。ほらみろ、ほらそれを言え、そらいけ。ほら、もうすぐ20分になるぞ、ほら主任さんが来るぞ主任さんが。それだよ。なに?だからそれだって。ええ!主任さん?私がどうしたって?ヤスカワの家は金持ちなんだなあ。こんなに持ってねえよな、普通。それにしてもさあ、やっぱヤスカワはチクらなかったんだな。さすがだよヤマちゃん。どうする、これでカラオケでも行くかあ?ああ、悪いけど俺、これからバイトだから。これから?うん、昨日休んじゃったからさ。昨日?ああ、俺も彼女が。ああ、まあね。なんだお前ら付き合い悪いな。とにかくこれ持ってけ。じゃな。おお、じゃあねー。ヤマちゃん怒ってんのかな。別に、そんなことはねえだろ。そうだよな。相変わらずやってんのか、ボランティア。ボランティア?ああ、あれか。やってるよ、しょうがねえから。何度も行ってるのか、病院に。ああ、めんどくさくてさ、まいっちゃうよほんとに。先生に頼まれたからしょうがねえけどさ。おお、じゃあ今度さ、俺も一緒に行ってやるか。うん、でも、無理しなくていいよ今日は。デートで忙しいんだろ。うん。うん、そうだけどね。なんだ、ヤスカワをやるのはさ、もうやめた方がいいと思わねえか。ん、ヤマちゃんがね。あのさ、ヒラ。これさ、ヒラが使ってくれねえか、頼むよ、な。なんだよショウちゃん、今日が初めてじゃねえのに。今さらなんだよ。いいからそれ、ヒラが使ってくれよ、な。いやよそんなこと。いやです。馬鹿じゃないの。そんなことできるわけないでしょ。ふざけるのもいい加減にしてよね。あたし帰るわよ、馬鹿らしい。ああ、ちょちょちょちょちょ。きゃあ!ちょっと。あのねえ、ショウヘイくん。どうしちゃったのいったい。中学校の頃のショウヘイくんはどこへ行っちゃったのよ。陸上部のキャプテンであんなにかっこよかったのに。なんか変な人たちとばっかりつきあってるんじゃないの、最近は。いいんだよそんなことは。関係ねえだろ今は。それよりさ、なあ頼むよ。俺の一生の頼みだからさ。長い付き合いだろ俺たち、小学校からのさ。それとこれとは別でしょ。いやよ絶対。ねえショウヘイくん、それよりもっと自分のことを考えてよ。今度何かあったら退学なんでしょ。それに欠席も多いし…大丈夫だよ俺は。ねえ、今でもうまくいってないの、新しいお父さんと。関係ねえだろそんなこと。だって、このままいったら卒業できないんじゃないの?いくらお父さんが嫌いでもショウヘイくんにはショウヘイくんの…うっせえな!余計なこと言ってんじゃねえよ!ごめん。いや、別にいいけどもさ。だからさ、だから言ってんだろ。今はさ、ヤナギのことを考えてくれって。考えてっていわれても考えようがないわよ、馬鹿らしくって。病気と言っても、エイズとかそういううつる病気じゃない…そういう問題じゃないわよ。まったくなあ。あのさ、ヤナギは癌だってことは先生から聞いてるよね。知ってるわよ。誰にも言うなって言われたから言ってないわよ。だったらさ…だからってね、だからってそんな馬鹿なことできないわよ。あのさあサンミヤ…サンノミヤですっ!なに?なんか、馬鹿ばっかし言ってさ。ああ、そっか、うん、ほんとだね。よくやったよなこれ。うん。なあ、頼むよサンミヤ。いやです。あのさあ、ヤナギはもしかしたら半年…知ってるって言ってるでしょ!でも、だからってなんで私がそんなことをしなければならないのよ。あたしが学級委員だからキスしなければならないって言うの?いや、そういうわけじゃなくて。ヤナ、サンミヤのことを好きだって言うからさ。やめてよ。やめてよ人の気持ちも知らないで。馬鹿!こらショウヘイ、もう一回言ってみな。だからさ、この際ヤナギを助けると思ってさ。馬鹿野郎、なんてこと言うんだお前は。そんなことできるわけないだろ。でもさあ、ヤナギはもしかしたら半年しか…あたしは看護婦だよ。それも主任だよ。そんな馬鹿なことしたら一生の終わりだ馬鹿。なんだ、キスくらいで大げさですよ。なんだよキスくらいって。あのねえ、キスなんて外国では子供だってやってますよ、チュッチュチュッチュッチュチュチュッチュて。それは外国の習慣だろ。日本では意味が違うんだよ意味が。大した違いはないですよ、キスはキスなんだから。大きな声でキスキス言うな、この馬鹿。主任さん、彼氏いますか?彼氏?いるわよ3人ほど。げっ。なんだよその「げっ」っていうのは。だって彼氏ってのは1人じゃないですか普通。これから1人に絞るんだよ。ということは、まだ特定の人はいないってことですか。だからなんだっつーの!ですからお願いします。そうはいかないよ。ダメなものはダメ。あのさ、あの有名な看護婦さんの神様?、ナイチンガール?ナイチンゲール。どうしたってのよナイチンゲールが。そのナイチンゲールがさ、キスしてたよ患者に。きっと治りますから元気を出すのよチュッ、って。嘘つけ。見たもん映画で。なんていう映画よ。ナイチンゲールの接吻だったかな。そんな映画ねえよ。ああ、あのさ、あの有名なマザー・テレサだってキスしてたよ。神のご加護がありますようにブチュー、ってさ。テレビで見たもん俺。ほんとなのそれ。ほんとほんとほんとほんと。マザー・テレサがねえ。ねえ、だからさ。ダメだよ。もうこの話は終わり。もう今日は帰りなさい。いいわね。主任さん!お願いします!もう、まいったなもう。もう、あのね、男女のキスっていうのはね、愛情の結果なのよね。だから、頼んだり頼まれたりするもんじゃないの。分かるでしょ。そんなね、金魚じゃあるまいしね、気軽にチュッチュチュッチュやってる方がおかしいんだよ。ですから、ヤナは好きなんですよ、主任さんのこと。え、そうなの?うっそお。嘘じゃありませんよ。ええー、どうしてさ、普通同級生とかさ、同じ年頃の子を好きになるんじゃないのお?あいつは姉コンなんですよ。姉コン?お姉さんタイプに弱いんですよあいつは。あ、そうなのお?ふーん、ああ、でもなんか嘘臭いなあ。嘘じゃありませんって。ねえ、ですから作戦だけでも聞いてください。ダメならダメでもいいですから。なんなの、その作戦って。キスってのはタイミングが難しいんですよね、初心者には。なんだよ偉そうに。ああ、すみません。あの、そう、合い言葉を考えたんですよ。合い言葉?そう、合い言葉。あのですね、もしそういうチャンスがあったら、まずヤナが「月がきれいですね」って言いますからね。もしそのときどうしてもキスがダメだったら「月なんてどこにも出てないわよ」って言ってください。そうすればヤナはあきらめることになってますから。何も言わないで黙ってたりしたらオッケーってことになります!わかった。マジで?分かったけどダメだよ。ショウヘイの友達を想う気持ちは良く分かったよ。そんなにふざけた気持ちじゃないってことも分かったけど、できないことはできない。あきらめなさい。主任さん!お願いします。ヤナには、ヤナには時間がないんですよ。俺、俺、あいつの気持ち分かるんですよ。お願いします。お願いします。確率1割5分ってとこかなあ。やっぱり無理かもしれないな。ヤナ、お前死ぬのをやめろ。もう少し生きてればさ、キスなんて女の方からお願いします、お願いしますって行列ができる。母さん。何?人は死んだらさ、どこ行くんだろうね。やめなさいよ、ケンイチ。ねえ、どこ行くんだろうね、ほんとに。やめなさいって言ってるでしょう!ねえケンイチ、なんか食べたいものはない?母さんこれからちょっと買い物してくるからさ、なんか買ってきてあげるよ。ねえ母さん、人間は死ん…やめなさい!こんにちはー。あらキタザワさん、いらっしゃい。いつも悪いわねえ。ああ、いや、俺どうせ暇だから。良かったわね、ケンイチ。キタザワさんが来てくれるとね、ケンイチだけじゃなくてあたしも元気が出るんですよ。ほんとにありがとうね、キタザワさん。ああ、いや、俺なんてなんの役にも立たないですよ。いいえ、キタザワさんは、あたしたち親子の神様ですよ。いいから母さんは買い物に行くんだろ。早く行って来なよ。ああ、そうだったね。それじゃキタザワさん、あたしが帰るまでいてくださいね。何かおいしいもの買ってきますから。ういっす。ういっす。おいヤナ、今日は第3希望を実現するぞ。え、何だよショウちゃん。バスケットだろ第3希望は。ほら。ショウちゃん、これどうしたの?バスケ部の奴らからさ、ちょっと借りてきたよ。どうだ、ちょっとやるか。おお、やるやる。いくぞ、ふっ。おお、うまいうまい。よし、終わろうか。は?早すぎるよ。だってお前病人だろ。大丈夫だよ。もうちょっとだけ、な、ショウちゃん。じゃあ、もうちょっとだけな。ういす。おお、うまいうまいうまい。よし、試合終了だ。まだまだ。いや、これ以上は無理だよもう。大丈夫だよ。もうちょっとだけ。な、ショウちゃん。もうちょっとだけ。じゃあ最後な。ういす。じゃ、シュート行くぞ。おら行け!おら行け行け行け行け行け、おら行け、おら行け!おいヤナ、どこ行くんだよ。シュートしちゃった。おまえボールは?なくなっちゃった。なくなったじゃねえよこのやろほんとに。おいヤナ、どこにシュートしたんだよお前、ほんとにボールねえぞ。どうしたヤナ。大丈夫かヤナ。おいヤナ、ヤナ!おいヤナ!ショウちゃん、俺さ、明日死んでもいいよもう。なあんだよ、びっくりさせるなよ。ああ、びっくりした。まさかバスケやれるとは思わなかったなあ。もう2度と、2度とバスケなんてできないと思ってたよ俺。何やってんだよあなたたちは。ここは病院だって言ってるでしょ!すいません。もう終わりましたから。もう終わりましたってねえ、ダンダンダンダンほんとに。ショウヘイ、ダメだよ。ヤナギはいま病人なんだからね。これから私はね、隣にも、その病室にも、全部謝って歩くんだからね。わかってんのほんとに。すいません。じゃあヤナ、俺もう帰るから。いいからもう少しいなさい!これくらいのこと、気にしなくていいんだよ、不良のくせに。いい人、だよな。な、そうだろ。おお、そうだヤナどうした合い言葉は。一緒にキスしてくれたか。ショウちゃんそんなこと大きな声で言うなよ。で、どうだ。やったか。そんなわけないだろ。挑戦してみたのか?してないよ。ダメだよお前、挑戦してみなきゃ。だって断られたんだろ、頼んで。そりゃ、一応は断るんだよ、女は。あきらめてちゃダメなんだよヤナ。ああそうだ、サンミヤは来たか、見舞いに。来るわけないよ。変なこと頼むんじゃなかったよ。嫌われちゃったよなあ、俺きっと。そんなことはねえって。そのうちきっと来るよ見舞いに。もういいよその話は。第2希望は取り消しだ。馬鹿言うなよヤナ、今更取り消しだなんてお前、俺の努力はどうなるんだよ俺の努力は。ショウちゃん、話すよ第1希望。え?死ぬまで誰にも話すつもりはなかったんだけど、聞いてくれるかショウちゃん。なんか大げさな言い方だなあ。なんなんだよその第1希望って。ショウちゃん、俺の1番の望みはさ。人を殺したい。ふざけてんのかヤナ。これで殺したい奴が1人だけいるんだ。俺が転校してきたのは、親父の転勤が理由になってるけど、ほんとはいじめが原因なんだ。こっちへきたときは、まだこの病気のことも知らなかったから、一日も早く前のことは忘れてやり直そうと思ってたんだ。でも、こうして入院してからはさ、どうせ死ぬんなら俺をいじめた奴を殺してから死のうと思ってさ。分かるだろ、ショウちゃん。それで病院抜け出して、この包丁買ってきてさ。いつか前の町行ってさ、そいつを殺したいと思ってたんだよ。ひどかったのか、いじめは。ああ。いつも突然携帯で呼び出されて、金取られて、それからボコボコにされた。あいつら人間じゃねえよ。3人か、相手は。ああ、いつも3人なんだけど、ほんとに悪いのは1人なんだよ。あとの2人はボスが怖くて仕方なくやってるんだ。哀れな奴らだよ。どうして話す気になったんだ。いまショウちゃんとバスケやってさ、ショウちゃんから受けたボールをシュートしたらさ、何かがすーっと消えたんだよ。もう人なんて殺さなくてもいいかなって思ったんだ。だから話したんだよ。いいのか、それで。うん、多分ね。そう思えるのは、全部ショウちゃんのおかげだよ。違う。違うよヤナ。俺はそんな立派な人間じゃねえよ。分かってるよそんなこと、誰もショウちゃんが立派な人間だなんて言ってないよ。そうじゃないよ、あのなヤナ。俺はさあ…ヤナギくーん、お友達だよ。どうぞ。こんにちは。あっ!こ、こんにちは。じゃ、面会は30分以内にしてくださいね。はい、分かりました。こんばんは、かな、もう。あ、そうか、そうだよね。最近どうなの、調子は。ああ、相変わらずだけど、でも大丈夫だよそっか。ああ、座って座って。ありがとう。あのね、あの、明日から1週間試験だから、その前にちょっと寄ってみたの。先生もたまに寄ってみなさいって言ってたからね。あ、なに言ってんだろ私。あの、別に先生に言われたからって来たわけじゃないのよ。そんな、そんな風に思ってないよ。来てくれて嬉しいよ。昨日はショウちゃんが来てくれてさ。やっぱり試験のこと言ってた。試験さえなければ学校も楽しいんだけどねー。あれ、サンノミヤさんでもそうなんだ。すごくできるのにさ。そんなことないよ、私勉強大っ嫌いだもの。へえ、そうなんだ。信じられないな。でも、俺みたいにもう試験受けることもないと思うと、もう一度だけ受けてみたくなるよね。なに馬鹿なこと言ってるのよ。ほら、早く退院して、3学期の試験ちゃんと受けないと落第しちゃうよ。ああ、そっか、そうだよね。そうよ、ダメよそんな弱いこと言ってちゃ。うん、ありがと。この部屋いいね、個室だから。大部屋だと大変なんでしょ、気を遣って。うん、でも個室に移されたのは病気が重いからだよきっと。同室の人が死ぬと、他の患者が動揺するからね。あ、俺また変なこと言っちゃって。一般論だよ一般論。まったく、もう帰るからね私。ああ、ごめんごめん、もう少しいてよせっかく来てくれたんだから。あれ、そういえば今日お母さんは?ああ、いま家に帰ってる。夕方家に戻って弟たちにご飯を食べさせて、9時頃かなあ、またここに来て、俺が寝てるのを確かめて、それからまた帰る。1日に何度か言ったり来たりするんだよ。へえ、大変だね。うん。夜、お袋が来るとね、俺ほとんど眠ったふりをするんだよ。どうして。んー、まあ、俺が眠ってればお袋が早めに家に戻れるしさ。というのもあるけどさ、ほんとは2人でいるのが意外と辛いんだよね。それでもお袋、1時間くらいはここで週刊誌読んだり居眠りしたりして、それから帰るんだよ。ああ、それでね、この前も俺が眠った振りをしてたら、お袋が帰り際に明日何か食べたいものは何かない、って言ったんで、俺即座に納豆って答えちゃったんだよ。夜中に2人で爆笑しちゃったよ。そんなに好きなの、納豆。うん、特に引き割り納豆が好きなんだよね、俺。引き割りかあ、私は軍艦巻きが好きなんだ。ああ、そうなんだ。美味しいよね。そうだね。眺めいいね、ここ。うん、4階だからね。ヤナ行け、いまだ行け、ヤナ立て、立って月がきれいですねって言うんだよ。勇気を出せ、勇気を出しゃ行けんだから。行け!あ、あの。つつつつつつつ。月が、月がきれいですね!でも月なんてどこにもないね!月がきれいですね!ヤナギくーん、大丈夫かな。はあ。なんか元気ないね。どうしたの、気持ち悪いの?あ、いえ。なんでもないです。あ、そう。あ、なんかそういえばさっき彼女すごい勢いで走っていったけど、どうかしたの?ああ、いえいえ、なんでもありませんなんか、バスに遅れそうになって急いで帰ったんですよ。間に合ったかなあ。あ、そう。だったらもっと元気だしなさい。せっかくガールフレンドが来てくれたんだから。嬉しかったんでしょう。でも俺、自分と同じ年頃の女の子なんて、あんまり興味ないんですよ!やばい。え、なんですか。ああ、なんでもない。じゃあね、あの、食後の薬飲んで、少し休みなさい、ね。主任さん!は、はい。な、なに?月がきれいですねえ。おお。そ、そんな月なん、ああっ!主任さん!お願いします。俺、俺、あいつの気持ち分かるんですよ。お願いします。お願いします。負けたよショウヘイ。よし!ケンイチ!ちょっとどうしたのケンイチ!ああ、母さん!ねえ、大丈夫なの。どうしたのケンイチ。な、なんでもないよ。ちょっとふざけてただけだよ。ほ、ほんとに?頭痛とか、吐き気とか、めまいとか、そういうの何もないの?ない、ないよ別に。ああ、びっくりしたあ。だって、普通じゃなかったんだよお前の顔。母さんこそどうしたんだよこんなに早く。なんか今日は胸騒ぎがしてねえ、すぐに来てみたのよ。だからなおさらびっくりしちゃったわよ。とにかく、もう寝なさい、ね。大丈夫だよ。いいから、ほら。あ、今日さ、クラスのサンノミヤさんが来てくれたんだ。さっき帰ったばかりだよ。サンノミヤさん?ほら、いつか先生と一緒に来てくれた、学級委員の。ああ、あのかわいい子がね。良かったねケンイチ。別にどうってことねえよあんなの。贅沢を言って。それにしても、良かったねえ。みんないい人ばっかりでねえ。うん。お医者さんも主任さんも友達も、最近みんな俺に優しいんだ。良かったね、ほんとに。みんなが優しいのは、俺にあとあんまり時間がないからだね。またそんなことなんか言って。母さん、死んだらさ、どこ行くんだろうね人間は。やめなさいケンイチ。母さん、死ぬとさ、息が止まるよね。やめなさい。そうするとさ、死んだ後はずっと息が止まったままなのかな。苦しくないのかな。やめなさい。また発作起こすと、苦しいのは自分でしょ。どう思う母さん。俺怖いんだよほんとに。死んだらどこ行くのかな人間は。ねえ母さん、どう思う母さん。ねえ母さん、母さん。うるさいわよほんとに!死んだらね、死んだら天国に行くんだよ馬鹿。苦しいわけないでしょ。天国に行けば、おじいちゃんもおばあちゃんもいるから、なんの心配もないわよ馬鹿!天国もあるけど、地獄もあるんだろ。悪いことしてなけりゃ天国って決まってるの。少しは悪いことしてるよ俺だって。大丈夫だよ。こっそりタバコ吸ったくらいじゃ、地獄に行かないよ。うそ、なんで知ってるの母さん。知ってるわよ何でも。あれはさ、俺がショウちゃんに無理矢理頼んでさ、一本だけもらっちゃったりしてさ。わかってるよ。でも、もうダメだよ。主任さんに知られたら大変だよ。それはヤバいよね。死ぬ前に殺されちゃうよね。母さん、俺さ、なんかほんとに友達ができたみたいなんだ。そう。良かったね。母さん、人間の幸せってさ、友達がいることじゃないかな。そうかもしれないね。だったら俺、いま幸せなんだよ母さん。1週間でいいからショウちゃんと思いっきり遊びてえなあ。だから、がんばって早く病気直そう。ねえケンイチ。母さん、ショウちゃんは試験があるから来週1週間はこないんだよ。そう。あ、でも1週間なんてすぐだよ。母さん、その1週間の間に俺が死んだらさ。ケンイチ!ああ、違う違う。もしもだよもしも。たぶんそんなことはないけど、万が一のときだよ。そのときには、ショウちゃんに伝えて欲しいことがあるんだよ。ねえ母さん、万が一の時だからさ、聞くだけ聞いてよ、ねえ母さん。なんなの。あのさ、あ、そうだショウちゃんに手紙書くよ俺。だから母さん預かっといて、ね。ショウちゃん、奇跡が起きたよ。第2希望ばっちりいったよ。おまけにさあ、奇跡が2度も起きちゃったよ2度も。ちょっとずるかったけど、いいよね。俺には後あんまり時間がないんだから。あ、俺意外に女ったらしかもね。ショウちゃん。ショウちゃんが80歳か90歳になってこっちに来たらさ、また一緒にバスケやろうぜ。それまで、とりあえずさようなら。さようなら、ショウちゃん。あ、一番大事なこと言ってなかった。ありがとうショウちゃん。ありがとう。ありがとう。早かったな、ショウちゃん。ヤスカワの奴、遅いな今日は。ヤスカワは俺が帰したよ。え?なんで。なんでだよショウちゃん。あのさあヤマちゃん。ヤスカワをやるのはさ、もうやめたほうがいいんじゃないか。どうして。なんだよショウちゃん冗談だろ。どうしたんだよショウちゃん、なんかあったのか。ヤナギが、死んだんだ。ほんとか?いつ?昨日の夜だって。そっか。かわいそうだよな。でもさ、これでショウちゃんもボランティアから解放されて良かったじゃん。ふざけたこと言ってんじゃねえよ!怒るなよショウちゃん。ヤナギのことは分かったけどさ、それとヤスカワとは関係ねえだろ。ヒラ、もう一回電話しろよ。まだその辺りにいるんじゃねえか。待ってくれよヤマちゃん。俺本気なんだよ。なあヤマちゃん頼むよ、もうヤスカワのことは勘弁してやってくれよ。わからねえな。どうしたんだよ。ヤナギとヤスカワとは関係ねえだろ全然。なあヤマちゃん頼むよ。ヤスカワはヤナギなんだよ。なあヤマちゃん頼むよ。なあヤマちゃん。やめろよ。どうしたんだよ、わけの分からねえことばっか言ってよ。なあヤマちゃん頼むよ。なあヤマちゃん。分かったよ。なんだか知らないけど、とにかくじゃあもう帰っていいよショウちゃん。あとは俺とヒラでやるから。なあ、そうしようショウちゃん。そうじゃなくてさヤマちゃん。もうヤスカワのいじめはやめようよ。ショウちゃんよ、調子に乗るなよ。俺はショウちゃんとは揉めたくねえって言ってるだろ。ショウちゃん、今日はヤマちゃんの言うように早く帰った方がいいよ。なあショウちゃん。いいからヒラ早く電話しろ。やめろヒラ!早く電話しろ!やめろヒラ!痛えなこの野郎!ヒラ、早く電話しろよ。何すんだよ。なんで、なんでこんなことやんだよ。わけを言えよわけを。わけ?わけなんてねえよ。ただ、ちょっとさ、ちょっとだけ世の中変えてみようと思ってさ。ふざけんな!ヒラ、カラオケ行こうぜカラオケ。ほら、早く来いヒラ。いま行くよ。ヒラ、ヒラもさ。ちょっとだけ、世の中変えてみねえか。ヒラ、行くぞ!おいヤナ。おいヤナ。馬鹿野郎、お前ありがとうなんて言ってんじゃねえよ。ありがとうってのは、俺のセリフだよ馬鹿野郎。いつかはな、一緒にバスケット…いつかはな、一緒にな…フジタさん、前半の舞台はいかがでしたか?ええ、みなさん、私と同じ高校生とは思えないくらい素晴らしくて、びっくりしました。そうですよね。どれもこれも、感動するものばかりでしたもんね。 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県立原町高等学校 放送文化ビデオドキュメンタリー |
時間:
8分45秒
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まだまだすばらしい舞台が続きます。後半の舞台は、放送文化の発表からです。NHK全国放送コンテストの入賞作品から、ビデオ作品の上演と、アナウンス、朗読部門の実演です。それでは、原町高校放送部制作のビデオドキュメンタリー「花粉症」からご覧いただきます。上演のため、この会場にコバヤシさんとサタケさんがいらっしゃっていますが、このお二人が中心となって制作されたと伺っています。上演時間は8分です。続いて、郡山女子大学付属高校、放送部のみなさんが登場していただきます。まず、アナウンス部門で、全国第5位に入賞した、ハシオミユキさんによります「伝統文化を継承する卒業生」をお聞きください。そして、朗読部門で全国部門に出場した、ミヤムラアイさんに「枕草子」と「ランガクコトハジメ」の一説を朗読していただきます。プログラムに「ウキヨブロ」とありますが、「ランガクコトハジメ」に訂正させていただきます。それでは、後半のステージのスタートです。俺の名前はコバヤシマサト。ただ今、不治の病に冒されている。その病の名は…てめえ、花粉落としてから入ってこいよ。発症要因としてはいろいろ言われてますけれども、やっぱり花粉とか、ストレスとか、食事、体質、大気汚染と言われています。くしゃみ、鼻水、鼻づまりを起こしてきます。その他、喉のイガイガ感や咳、体のかゆみ。いわゆる異物が体の中に入ることによって、アレルギー症状を起こすと。ああ、もうダメだ、鼻が。しょうがない、あいつらを呼ぼう。ではさっそく。そう言えば、こんなことを聞いたことが。南極には花粉がなく、当然花粉症に苦しむ人もいないということ。是非一度行ってみては。それだ。確かに南極には木がないから花粉もない。俺にとっちゃ夢の大陸だ。よし、思い立ったら即実行。資金調達だ。花粉症を治すために、南極に行きたいと思っています。南極へ行くための募金をお願いします。ああ、花粉飛んできた。こんなのできるわけがない。次、もっと現実的なことでなんかないですか。花粉てさあ、髪の毛に付くんだよね。それだ。この爽やかな坊主頭。きっと彼らには花粉なんてなんのその。ああ、うらやましいな。よし、俺も。いや、でも、俺が坊主になったら。あいにく出家する気はないから。よし、じゃあポイズンコバヤシ、君に任せた。花粉対策だからお前はダメなんだよ。いっそ花粉撲滅でなきゃね。それだよ。やめろ。離せ!やめるんだ。離せ!やめるんだ、やめるんだ、やめるんだ。そっか、コバがそんなに花粉症で悩んでいたなんてな。ええ。でも犯罪はダメだろう。でも、杉さえ燃やしちゃえば、花粉症もこの世から消えてなくなるんですよね。そっか、もっといいこと教えてやるよ。本当ですか、ありがとうございます!肉類に含まれる、ブロクリンという物質が、花粉症を引き起こす原因になるらしいから、朝晩魚中心の食生活に。もちろん弁当も。今日の魚は何かなあ。また鮭かよ。たまには肉食いたいなあ。鼻炎にはこの甜茶が効くらしい。よし。お湯を入れて、と。さてと、どんな味かな。甘いうえに、ちょっと不味い。けど、花粉症を治すために、俺は飲む!花粉が付くと言っても、やっぱりフカフカの布団で寝たい。そんなときにはこの手作り布団カバー。ゴミ袋とガムテープで簡単に作れるし。これで花粉防御もばっちりだ。近所の子供が見てるよ。皮膚を鍛えることで、体内の粘膜も強くなる。ならば毎朝乾布摩擦!さみっ。毒をもって毒を制すと言うくらいだから、俺は杉をもって杉を制してやる。免疫の体を作るんだ。さっきの甜茶は不味かったし、今度こそ。甘っ。鼻をかみすぎると、乾燥して鼻の下が痛い。だから乾燥させないためにも飲む、飲む、とことん飲む!うおー、なんなんだこの清々しさは。今日はなんか鼻が通ってるし、目もあんまり痒くない。しかも心なしかマスクなしでもくしゃみ出ないし。もしかしてこれって先輩に教わった治療法のおかげ?よっしゃー!それはそうとして、ごめんよ杉さん。昨日の敵は今日の友。今日から友達だ。グッバイ、花粉症!先生、いろいろ試してみましたが、症状が軽くなるだけでさっぱり治らないんですよ。花粉症を根本的に治す特効薬はないんですか?それは非常にいい質問だと思うんですけれども、いま現在、特効薬はないと思いますね。杉花粉症の人は、杉のないところに行けば、必ずそういう症状は起きません。実は私も花粉症なんですけれども。そうか、ないのか。やっぱり誰もできないことなのかな。よし、誰もできないことなら、俺が実現させてみせる。我が福島が産んだ偉大な医師、野口英世のように、俺が不治の病花粉症の完全な治療法を見つけて、同じように花粉に苦しむ人々を自由にするんだ。先生。俺、医者になります。おう、コバヤシ。座んなさい。医者もいいけどね。この点数じゃ無理だ。せ、生物26点?赤点じゃん!しかも医者は無理って、俺の未来が〜。
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