町勢要覧(合併前の伊達町) -044/051page
3.名所.旧蹟
(1)村社熱田.八雲両社
熱田神社は日本武尊、八雲神社は素盞鳴命を祭神として敬仰している。
もと尾張の國に鎮座せられる熱田、八雲両社の分霊を大同2年坂上田村磨将軍が東夷征伐のとき戦勝を記念して、当地に奉遷せられたと傅いられている。
例祭は毎年旧6月14、15の両日行われ、その祭式は尾張の熱田、八雲両社の祭事に做い旧6月6日熱田神社の御神体を八雲神社に奉遷し、翌7日両社の御神体を神輿に入御熱田神社に移し旧6月15日町内を渡御する慣例になっている。
なお例祭は長岡天王祭と言われて近郷にひろまり例年数万に達する参詣人で賑わっている。(2)西念塚
当町字川原町地内に所在する。
むかし当町南端を東に流れる摺上川は降雨毎に氾濫して農作物は勿論のこと人畜に及ぼす被害はまことにおびたゞしかったと傳えられる。
寛文8年当町田町にあった東光時住職西念法師は、深くこれを憂いて堤防の人柱となり永久に水魔の害を救わんものと悲願をたてられ同年4月8日に法衣をまとい生埋となり神佛に祈願された。後世その遺跡に碑を建立して法師の霊を弔った。これが西念塚である。
摺上川は、その後も氾濫したが、昭和14年総工費10数万円を投じて護岸工事が完成した。
なお、現在浪曲家三門 博氏口演による「唄入観音経」は、西念和尚が辺暦した苦難の生涯を脚本されたものであることは、あまりにも有名であるが、同氏がその遺徳を敬仰して昭和18年同地内に観音堂を建立した。