月舘町伝承民話集 -000-06/200page
は し が き
月舘町史編纂委員会
阿武隈の山なみに囲まれてひっそりと息づいている町、わが月舘は幾千幾百年の昔から、私達の祖先が美しい山河を愛しながら、自然にとけこみ開拓し続けてきた里である。
養蚕、煙草、果樹など水田の少ない土地でありながら、割合平和に今日まで発展した里である。そうした風土に培われた人間と生活から幾多の伝説があり民話が生れた。しかし戦後の社会の変ぼうと驚くべき科学の発達は、私達農村を一変しようとしている。開発は急速に進み、民話や伝説を生んだ山河もその姿を消そうとしている。私達はこのすぐれた文化遺産を大切にすると共に、豊かな心を育くみ新しい未来を創り出す力として、ここに伝わる民話を編むことにした。
この話材は町民各層より寄せられたものであり、特に長谷部俊一郎氏を始め関係者各位からは、貴重な資料の提供、肋言等数々のご指導ご協力をいただき、感謝に堪えないものである。
尚まだ数多くの伝説や民話がとり残されていると思うが、後日追補の日までご了承を願いたい。
昭和49年4月