月舘町伝承民話集 -000-05/200page

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発刊に寄せて

遠 藤 宗 一

月舘町教育委員会教育長   遠 藤 宗 一

 古びた一つの祠にも、無雑作に立つ一つの野仏にも、秘められた心と信仰と歴史とがある。

 私等の祖先もまた、長い斗争と栄枯盛衰の嵐の中に生々流転し、ある時は哀しく、ある時は勇しく、またある時は面白おかしく、それぞれの時代に信仰を心の支えとし、心の寄りどころとして生き続けてきたことでしょう。

 歴史はまた、尽き果てることのない時を刻み、ここに幾千年にもわたる星霜を踏んで、生きることからにじみ出た数々の物語りとなって、子から孫へと語りつがれてきたものでありましょう。

 このたび、町史編纂事業のかたわら付編として、編纂委員や地方史研究会員の方々から原稿をお寄せ載き、ここに「月舘町の伝承民話集」を発刊することのできましたこと誠に喜びに堪えないところであります。

 祖先が守り、育て残してくれたこの山も河もそして文化も、私達の心の奥底に大事にしまい、祖先が成し遂げてくれたように、私達もまた正しく後世に伝え残してゆきたいと希うものであります。

 願わくばこの発刊が契機となり、我が町に埋もれている未発見の文化や文化財が、世に出て下されば幸いであり、また願うものであります。

昭和49年4月


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