月舘町伝承民話集 -012/200page
100年 ― 経ってしまった 時の流れは早く 世の中はみんな変り果てた 然し彼の墓は 小高い丘の上に残っている― 雑然とした秋草の中に 今宵も 虫が悲しそうに 啼いている― そして 宵闇をぬらしながら 絹糸のような 小雨が 彼の霊を弔うかのように ひっそりと彼の墓のあたりに しめやかに降り注いでいる―