月舘町伝承民話集 -044/200page
夢だった。老女は夢さめて早朝起きて見ると、河原の 池に光り輝く異様なものを発見した。老女はおどろき 本山に登ってよくみると、岩屋の前に垂れた木の枝に 神の御旗が掛っているではないか。老女は家に帰って 家人にこのことを知らせ、また岩上に引き返してくわ しくそのあたりを調べたところ、岩石の上に神が天降 ったと思われる足跡のあるのを見つけ、更に驚いた。 「是は正しく神の御霊のお告げに相違ない。」と思い、 村びとに依頼して直ちに社をつくって本山神社として お祀りすることにした。
この神社は経津主命をまつり、赤城神社の奥の院と して、代々田代家の氏神となし武運長久の祈願所とし た。この神域は天然自然の霊地であり、今も部落民の 崇敬を集めている。現在の神殿は、明治9年9月15 日に再建されたもので、部落の人びとは神信心のあつ いおばあさんが夢知らせによって、神の霊感をうけた のだろうと言っている。