月舘町伝承民話集 -069/200page

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しろかき地蔵さま

 ずっとむかしのことです。いつ頃かよくわからないが五、六百年は前のことでしょう。
布川の竹の内、堰場、若、あのあたりに余り家がなかった頃です。赤井堂の前の道を一人のおばあさんが歩 いていると、田んぼの中で子どもたちが大ぜい集って、地蔵様の首をひもでしばって、苗代かきをするよう ぅに引きずり廻して遊んでいました。おばあさんはそれを見てびっくりしてしまって、急いで子供たちに向 って、
「これ、これ、お前たち!!とんでもねいことするんでねえぞ。そりゃあ有難い地蔵さまだよ。そんなことしたらばちがあたるべえよ。早くわしによこしな…」
といって子どもたちより地蔵さまをとり返しました。
「お地蔵様、大へんすまんことをしました。わしに免じて、子めらのことを許してたも」
とあやまりました。
子どもたちは地蔵さまを取り上げられて、がっかりしました。夕日は西に沈んで、子どもたちもみんなおう ちに帰りました。おばあさんも地蔵さまをきれいに洗い直して自分の家に帰りました。するとその晩から地 蔵さまをころがして遊んでいた子どもたちがみんな熱を出しました。どこが痛むわけでもないが熱が下らな いし元気がないので、親たちはみんな心配しました。そこで占いをする人をたのんで聞いてみました。
とこ ろが占いをする法印さまに地蔵さまの霊が乗り移っていうには
「わしは子どもたちと一緒に遊んで、ほんと うにうれしかった。もっと遊びたかったのに、おばあさんに取り上げられてしまって遊べなくなって、がっ かりしているんだ。そこで、もう一度子どもたちと遊べるようにしてくれたら、子どもの熱がさがるだろう」
というのでした。このことを聞いて部落の人たちは、早速おばあさんの処へ行ってそのことを話し、子ども


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