月舘町伝承民話集 -116/200page

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さんのけん属をおんぶしているもの、それが果てもなく続いていたんだどぉ。その子どもはおびえて声をた てたら、一つ目小僧は「小わらし、声を出すでねえ。わしらの正体を見たことをだれにもいうでねえ。」そう いって葬式のような行進が始まったどぉ。子どもはそれについてどこまでもどこまでも歩いていったんだど ぉ。さて部落では日ぐれになっても帰ってこないので大騒ぎとなり、みんなで手わけして山に入ったんだど ぉ。「迷い子の迷い子の太郎やーい。」「迷い子の迷い子の太郎やーい」鉦をならしたり、太鼓をたたいて大声で こうよんで、どこを探してもいない。あしたになって木の根っこに眠っているのをやっと見つけたどぉ。子どもはそれから、七日七夜眠り続けてやっと正気に返ったという話。だから山にはひとりでゆくもんでねえぞぉ。

きもだめしのはなし ヘ

 むかしむかし、村の腕白小僧たちが冬の夜檀那寺に集まって、きもだめしをすることになったんだどぉ。 まず寺の本堂の須弥壇の前に坐って、百本の百匁ローソクをともし、一つの話が終ると裏の墓地をひとめぐ りして一本のローソクを消すしくみ。話は怪談づくめ。なかなか話がはずんで、出るわ出るわ、化けものの 一つ目小僧の話。般若面がはずれなくなった話。青鬼赤鬼やさては幽霊の話。ありとあらゆる妖怪が現われてそのつど消してゆく始末。墓地の新しい墓にはまだ白い旗や、そとばがあって、まるで今にも亡者がさし まねいているような恐怖がつのる。初めは明るい本堂でのきもだめしで、威勢のよい話にはずんだが、だん だんローソクが消えてゆく。暗さが増す。ついの果てはたった一本のローソクがともっているばかりとなっ たんだどぉ。その最後の一人が鬼火の話をして、そこに人魂がふわふわやってくるようなすご味がでていた


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