月舘町伝承民話集 -115/200page

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山彦と子どものはなし ニ

 むかしむかし、栗の実がこはぐろにかねついたので部落の子どもらは、栗拾いにゆくことになったんだぉ。 そうして栗をいっぱい拾って帰ろうとしたとき、そのうちの一人が小高い丘に出て「おーい」とよんだら向 こうから「おーい」とよび返したどぉ。だれか山の向こうにいるにちげえねえとおもしろくなって、またよん でみたどぉ。「ばかやろう」そうすると向こうでも「ばかやろう」とよぶ。子どもはみんなからはぐれてその 声のする方へどんどん入っていったんだどぉ。それが山彦とわかんねえだべなあ。そして「どこにいるー」というと、その子どもには「ここにいるー」と聞えてくる。霧がかかってくる深い谷の向こうにだれかいる とばかり思って、木の間をくぐって夢中にのぼっていったんだどぉ。ふいに悲しくなって「おっかあー」と よんだら「ここにいる」と聞えてきたどぉ。そうしてゆくうちにもう声はいくらよんでも聞えない。「おっかあ、おっかあ」そうして子どもは部落に帰ってこなかったんだどぉ。神隠しに出あったんだべい。だから山に はひとりでゆくもんでねえぞぉ。

きのこのおばけと子どものはなし ホ

、木の根っこに出ているわ出ているわ。夢中であっちの沢、こっちの峰と、とりまわったんだどぉ。ところがひとりの子どもがはぐ れてしまったんだどぉ。ふと谷間で毒きのこのお化にあった。見るとげらげら笑いながら踊っているものや、 まっ赤な衣装をつけて一つ目小僧に似たもの、たこの足のように八本の手で木の根っこにつかまって抱きあ っているもの。そうかと思うとぶよぶよのうが出てふくれ上ったかっぱのお皿のような頭をもたげて、たく


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