月舘町伝承民話集 -118/200page

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狐にばかされたじいさんのはなし

(1)狐にばかされたじいさんのはなし

 むかしむかし、じいさんが山で暮していたんだどぉ。夕方になって米びつに米がないことに気づいて、夕 めしに間に合わせべいとざるにぜにを入れて、ふもとの村に出かけたどぉ。すると峠にさしかかって後をふ りむくと、きれいな娘がやってきて
「じいさん、米買いにゆくか。お供すべえない。」そういって親しくより そってきたんだどぉ。
じいさんはこんなあかぬけした娘がいるものかと不審に思ったが、つい話につりこまれ、 米買いを忘れて、その娘の家にゆくことになったんだどぉ。そこの家は大きな一軒家で、娘はじいさんを座 敷に案内してたいそうもてなし、あぶらげの狐うどんやたぬきうどんを何杯もお代わりしてじいさんは
 「うめいうめい」と舌鼓を打ったんだどぉ。
そうして布団に寝かされたが、朝目がさめてみると、そんな家はどこにもないし、見るとすすき野の真ん中に寝ていたんだどぉ。よく見るとそのまわりにいっぱいみみずの皮 がちらかっていたんだどぉ。うどんとみたのは、このみみずだったか、一杯狐にばかされた。いまいましいやら、お尻の土をはたいて山道をくだってやっと昼めしごろ家にもどってきたんだどぉ。

(2)狸とひとりぐらしのおばあさんのはなし

 むかしむかし、山の中に年とったばあさんがひとりでくらしていたんだどぉ。ある冬の日のこと、ばあさん囲炉裏で 夕めしの支度をしていると、トントントンと戸をたたくものがある。ばあさんは 「だれだ、いまころ戸をた たくものは」とどなったんだどぉ。そうすると悲しそうな声で、外で「あけてくれ、こごえ死しそうだ。お


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