月舘町伝承民話集 -124/200page

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怪猫が柩(ひつぎ)をうばったはなし

 むかしむかし、古猫が飼われていたんだどぉ。とこ ろがその家の主人が亡くなって、葬式となると今まで 傍らにいた猫が、ぶっつりといどころをくらましてし まったんだどぉ。葬式にはたくさんの会葬者があり、 近在にないような立派な葬式が、しずしずとその家か ら出たんだどぉ。ところが墓地への途中で一天にわか にかき曇って、その黒雲の中から夜叉(やしゃ)となっ た怪猫が現われたと思うと、その枢を黒雲の中へうば って宙づりにしてしまったんだどぉ。さあ大変、大騒 ぎになって会葬者はあれよあれよと空中を仰ぐばかり。 坊さんもこのにわかのことに肝をつぶし、どうするこ とも出来なかったんだどぉ。ところがたいそう偉い坊 さんがいて、このことを聞いてとんできた。そして天 に向って怪猫を説きつけ、葬式のときには必ずお前の ことをお経の中に忘れずに説くから、その枢を空から

怪猫が柩(ひつぎ)をうばったところ


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