「ふるさとの小径を行く」 -033/168page
らず即ち藩館を火にして退却せり此時農民の多くは家財を携へて近村へ遁鼠せしが浮浪の賊徒奪掠を恣にし且つ火を放ちたるを以て同大字は勿論小島村の一部は烏有に帰し乱後住むに家なく食ふに食なくして兒女は残煙に咽び老は焼後の周囲に佇立して茫然自失為す所を知らず実に惨憺を極めたり(下略)」
なお、下手渡藩ゆかりのものとしては、菩提寺の耕雲寺(一二七ぺージ)と陣屋跡に建てられた懐古之碑があります。
懐古之碑は、明治三十五年に旧藩士が中心となって建てられたもので、内容は、立花家の系譜、筑前岩屋宝満二城の戦い、下手渡への移封、天保の飢饉とその対策、立花藩の気風などです。(全文参照)現在、陣屋跡は桑園ほか畑地になっていて、昔の面影を偲ぶ何ものもありませんが、陣屋の配置をもとにその規模・構えを思い浮かべて下さい。