「ふるさとの小径を行く」 -044/168page
居集の地蔵尊と大日如来
御代田字居集、五幸山へ通じる道の傍らにたたずむ高さ一メートルほどの石像が居集の地蔵尊です。明治初年の廃仏棄釈によってこの地蔵も他の仏像のように捨てられ、道路下の川に沈んでいましたが、大正二年の洪水で再び世に出て元の座に立つようになったといいます。台座に寛保癸年らしい文字がかすかに残っています。
この地蔵尊より、山へ入ること五〇メートル、三浦家の裏手に、数基の石塔とともに、大日如来の座像がまします。明治初年の難のとき、御姿の立派なため信者によって山中に隠し守られたものといわれます。そのためか、損傷もなく今日に残って、静かで、慈悲深い尊容に自らなる気品を備えた姿を見せています。
台座に文字を刻んだ跡がうかがえますが、風化が激しく読みとれません。
大日如来像の右手には、「青麻大神」(昭和十一年)「廿三夜」(嘉永三年)「庚申塔」(文久三年)などの石塔が並んでいます。