「ふるさとの小径を行く」 -085/168page
宝篋塔(ほうきょうとう)
清浄庵の観音堂の右側に、高さ三メートルに及ぶ花崗岩の立派な宝篋塔があります。
宝篋塔は、宝篋印塔とも呼ばれ、宝篋陀羅尼という呪文を収めた塔を言うのですが、後に供養塔、墓碑塔としても建てられるようになったもので、上から相輪、笠、塔身、基礎と作られており、塔身に梵字を刻んで本尊とします。月舘町唯一の宝篋印塔です。
この宝篋塔には、寛政元歳己西(一七八九)十月吉日、菅野新四郎、為秀富先祖代々菩提造立之と刻まれ、裏側には四人の法名が刻まれています。
伝えるところによりますと、月舘の旧家、菅野氏が仕事で他国に赴いている留守中、妻と三人の子どもが死去したのを悲しみ、その霊を慰さめるために建立したものといわれています。
塔の正面は、観音堂についてしまっていますが、観音堂が後で建ったためこうなりました。
大きな塔の姿は、建立者の愛情の深さと、財力の大きさを後世に語るかのようです。