「ふるさとの小径を行く」 -084/168page

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清浄庵の観音堂

 町役場の裏手に鐘堂があり、その上に土蔵造の白壁に梅鉢の紋のついた観音堂があります。この観音堂は、小手郷三十三観世音、二十六番の札所「清浄庵観世音堂」であります。御詠歌は「ここに来てめぐる月舘清浄庵、鐘のひびきに明けるしののめ」です。御詠歌にもある鐘は、太平洋戦争の時献納されて今はありませんが、小手風土記には、
 清浄庵鐘ニ日奥州伊達郡築館町清浄庵
 二代同州安達郡二本松澁川村日向火断木食
 寿福院 願主 月照海止(上)人 願主、菅野新左エ門
 干時享保八癸卯天九月晦日
と、記されています。

 この御堂は、安永六年(一七七七)菅野新左エ門氏が、娘の病気治癒を願い、平癒後奉納したものと伝えられますが、当時、この地には同氏の帰依により建立された尼寺「清浄庵」があったので「清浄庵観音堂」と呼ばれています。

 観音像は、京都のある寺の住職の世話で、京の仏師の作西国三十三観音の尊体を模したものです。

 明治の中頃には庵主もなく、西原の学校ができるまでの分教場として使われました。そのときの運動場が庵の南につながる神武山でありました。

 現在の庵跡には、帰依者の縁因深い大きな石灯籠や、尼寺にゆかりの墓標がいくつか周辺に散見されます。

清浄庵観音堂
清浄庵観音堂


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