「ふるさとの小径を行く」 -114/168page
中松葉の供養碑
上手渡線から松葉への道を五百メートル程歩むと、東に水田を見下ろす道端に、長さ三メートル、高さ一メートル五十センチほどの花崗岩の巨石の前面を平らにけずり、高さ一メートル十センチ、幅四〇センチほどで剣先形に彫りこまれたものが三面みられます。これが「中松葉の供養碑」と呼ばれるものです。
碑面の文字は風化が激しく読みとることはできず、剣形の枠のみ明瞭です。土地の人の話によると、光の具合で僅かに読みとれることもあり、三面とも「南無阿弥陀佛」と刻まれているといいます。製作年も、延享三年、いや、明和だともいわれます。
昔、狸が出没して人々を苦しめたので、その狸を退治したときの供養であるとの説があります。近年この周囲から人骨らしいものが出たという人もあり、墓地にからまる無縁仏供養であろうとも推察されています。
磨崖仏形式で、同形のものが三面並んだ碑は珍らしいものであります。