あだち野のむかし物語 - 032/037page
安達ヶ原の七不思議 その一 三度返り
観世寺の南方約一キロメートルの三合内地内に、六すじの道が交差するところがあります。そこを「三度返り」といっています。阿闍梨東光坊祐慶(あじゃりとうこうぼうゆうけい)が鬼婆に追われて逃げまどい、同じ道を三度通ったところから名付けられたそうです。その二 ほら石
「三度返り」の西南方三〇〇メートルほどの畑の中に、長さ約四メートルの「ほら貝」に似た石があります。これは阿闍梨東光坊祐慶(あじゃりとうこうぼうゆうけい)が鬼婆に追われた際に、ぐいぐい追いつめられ、ついにたまらず、手にしていたほら貝を放ってしまいました。ところがその「ほら貝」がいつの間にか石になって、今に残っており、その辺りの地名を「ほら石」といいます。その三 お化け杉
観世寺の境内西角に、樹齢二百年、周囲一・五メートルほどの杉の古木があります。ところがこの杉の木は、上の方の枝葉と下の方の枝葉の種類が全く違います。中途で接木されたとも見えず、お化け杉といわれております。その四 お化け松
観世寺境内に、樹齢二百年ほどの五葉松が根を張っております。これは、昔接木をしたものと思われますが、「お化け杉」のように全く別種の二本の枝葉が繁っております。