上川崎和紙 -014/017page
和紙の姿
かつて上川崎は二本松藩丹羽領内の「地障子」という障子紙の生産地であった。楮を原料とする生漉き紙で、現在の和紙の原形ともいわれている。長い間、漉き上げる紙の種類はさほど多いものではなかった。しかし明治以降、日本の和紙は世界中で珍重されはじめた。著名な画家やデザイナーたちによって、インテリアや照明といった、今までにない利用法が見つけ出されると、上川崎和紙も自然と様々な種類を漉くようになっていった。材料に工夫を凝らしたもの、原量に自然の色を加えたもの、工程の中で偶然うまれたものなど様々である。ここに紹介するのが現在造られている主なものだが、そのどれもが上川崎和紙の持つ独特のあたたかさに満ちている。生紙・きがみ
紙質・強度ともに最高級の和紙。冬の寒さが生紙の白さをつくり出す。楮皮紙・こうぞかわがみ
カズヒキの工程で削り取った外皮を入れて漉いた紙。独特の風合いがある。スジ紙
楮だしの工程で取り除いたスジを入れて漉いた紙。生紙を生産できない暖かい季節に楮皮紙と並んで多くつくられる。晒・さらし
生紙にさらし粉を入れて漂白したもの。生紙に比べ強度はやや劣る。床紙・とこがみ
紙床台に敷いた布の跡が付いた紙。何枚も漉き上げ重ねられた紙の一番下の一枚だけが床紙となる。紅花染め
原料に紅花を混ぜ、自然の色だけで着色した紙。くるみ染め
生紙にくるみの皮で色を着けたもの。乾かす時に手でシワをつけて模様をつくる。