須賀川市人物読本 先人のあしあと -008/134page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

をかくにしても、鼻や目の高い、低いを、はっきりあらわすことができるのです。

 わが国の絵では、こうはできません。気分によいしれて、ものを観察してかかないからです。絵にかぎらず医学においても、観察は大切です。この点オランダがすぐれていることは、よくわかります。ですから新しい知識をえようと、いつもオランダの医学書を訳しているのです。」

 「たいそう、りっばな本ですね。」

 「ええ、ブランカールトの解剖書です。オランダ人の医者ですが……ああ、ここにブランカールトの顔が、のっています。」

 田善は、手にとって、のぞきこんでみました。だ円形のなかに、髪をかたまでたらした西洋の人の顔がかかれ、その下に、アルファベットで名前が書かれています。さらにべージをめくると、脳や腹の解剖図が、あらわれました。

 さし絵がでるたび、手をやすめて見ていると、弟子のひとりが、言いました。

 「さし絵は、どうでしょう。すばらしい解剖図ではありませんか。」


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は須賀川市教育委員会に帰属します。
須賀川市教育委員会の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。