長沼町勢要覧 -006/044page

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水の旅路。

風と水の歌が、きこえてくる。



水に浮かぶささ舟

川は山に生まれ、人々の生活の幸を見つめ ながら、海へと流れてゆく。長沼と会津を隔 てる奥羽山脈―その山々の懐から湧き出る 泉は、せせらぎとなり、集い、やがて川とな り、町を潤す。

長沼にはいつも、豊かな水がある。その昔、 伊達政宗が豊臣秀吉の命を受け、整備された 会津街道(白河街道)。この道は江戸時代、参 勤交代の道でもあった。その美しい街道筋に は、通行中の会津侯が清き流れに心をひかれ、 清水を飲んだという故事が伝わる「殿さま清 水」がある。さらに、白馬の尾をたれたよう な見事な景観が楽しめる「馬尾の滝」や「銚 子ケ滝」「姫子の滝」……そんな美しい滝や淵 が、ひそやかに、清冽な瀬音を奏でている。 このような美しい自然に磨かれた名水のふる さとは、清らかな水と、人々の知恵を存分に 活かした名品を生み出してもきた。酒、豆腐…… これらは、いずれも良質の水、おいしい 水がすへての源である。

人が水を愛するほどに、水は人を、暮らし を優しく包みこんでくれる。今では勢至堂ト ンネルの入り口近くまで引かれた「殿様清水」 の水を求めて、休日ともなれば、人が次々と 訪れる。いつの時も変わらぬおいしい水がそ こにある―。町の誰もがそのことを、十分 すぎるほどに知り抜いているからだ。それは、 暮らしの中に、ふるさとの自然への感謝と信頼 、そして誇りが、確かに息づいている証し でもある。

北から町へ流れるのは、岩瀬村額取(ひたいどり)山に 源を発する簀の子川。そして西北からは、勢


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