長沼町勢要覧 -015/044page
人の華。
沸き上がる熱き想い。
次々が趣向を凝らした絵柄が書き込まれ、 たぎるような生命を与えられたねぶた、ねぷ たは、人々の熱い想いと一体となり、ひとつ の生き物のように躍り、うねり、歓喜の声を 上げながら疾走していく。誰に促されたわけ でもない。見物客たちが、一緒に跳ね出す。 親と、ふとはぐれてしまったらしい子供も、 近くの大人たちと笑顔を交わしている。「祭り の時は、町の子みんなが自分の子供だから ……」そんな話し声を、耳にした。
激しい踊り、鮮やかな色彩、子供の笑顔、 心から楽しむ見物客。その一つひとつが、満 ち足りた時間を創(つく)り出していく。人々がみな 華やいで、それでいて、どこかほっとするよ うな瞬間が、ここにある。
祭りの後、ねぶた、ねぷたは取壊される。 しかしその時すでに、次の祭りは始まってい る。一人ひとりの心のスクリーンに、一年後 の町の華やぎを映し出しながら―。
NAGANUMA FESTIVAL