長沼町勢要覧 -025/044page
野の草花が萌(も)え出ずる春とともに、土を耕し し、種を蒔(ま)き、人々に豊かな実りをもたらし てきた農業。それがいま、大きな転機を迎え ている。常に長沼の基幹産業であり続けた農業 が、これからも町を支える確かな力であり 続けるためには、様々な課題がある。
「農業にどっぷりとつかっている“内側の 目”だけで考えていては、問題が見えません。」 ― “いわせキュウリ”のブランドで知られる キュウリの周年出荷をを実施している池田さん は熱く語る。「はた目から見て、農業は魅力が あるのか。そんな“外側の目”をもつことが、 農業への関心につながるんですよ。」
実際、池田さんの携わるキュウリ栽培には、 多くの若い人達が従事している。それはなぜ か。キュウリは現在、露地栽培のほか、ハウ ス栽培、如温栽培も行っている。これにより シーズンを通した収穫の安定性をもたらし、 それが安定した収人につながっている。また、 市場の動きを読み、“一番高い時期に、最高のものを提供する” ことにより生み出す高収益……。 このように、農業の魅力を確かな形に して見せること。それが、若い人がついてく る大きな要因になるのだという。
機械の大型化や作業の委託。これらも、将 来の農業経営を語る上で、クリアしなければ ならない大きなハードルだ。粟野さんも、そ んな課題に取り組む一人。「省力化、労働時間 の短縮、これらは時代の流れです。しかし、 もちろん機械は高額ですから、“コストとの相談 ”という問題にぶつかるんです。」一人ひと りの考え方には、それぞれ違いがある。それ をどうやって共通の認識と和解を得て進めて いくか、そこに将来のカギがあると、粟野さ んは語る。
そして農業とは、家庭があってこそのもの。 “女性の目”から見た、長沼の農業はどうだ ろう。「実際に自分でやってみると大変。で も、自分の手がけた作物が収穫できたときの 気持ちは、格別なんです。」と、目を輝かせるの は、長沼町内から嫁いできた横川さん。どん な作物も、朝のとりたては甘さが違う。そん なことも、農家の主婦となって初めて実感で きたような気がする、という横川さんは、粟 野さんや池田さんの奥さんともみんな友達。 そんな女性同士のつながり、ネットワークは 心強く、必要不可欠なものだという。
そして全員が口を揃えるのは、“楽しい農業 をしていきたい”ということ。「農業は、やっ てみると面白い。だからまず、みんなにも “やってみようか”と思ってもらうこと。 こ れが一番大切だし、自分たちの大きな役割だ と思うんです。」それは、家庭でそういう意識 を育てることも大事だし、もっと大きな目で 見て“地域全体”で後継者を育てる雰囲気、 下地づくりをすることも大切。それには、ま ず自分たちがイキイキと楽しく農業をやって いる、そんな姿を見せることが、その出発点―。 そんな熱い想いに育まれ、長沼の農業 は、豊かな未来へと歩んでいくことだろう。
豊かな大地で、自らの手で育んだものを、自然への感謝を込めて収穫する。その何物にも代えがたい喜びに、思わず笑みがこぼれます。
最先端の技術で高品質の製品を―。恵まれた自然環境と、人に優しくゆとりある職場環境が、まちに蒔(ま)いた新しい産業の種を大きく育てています。
楽しく快適にショッピング。より安く豊富な品揃えとともに、訪れるワクワクするようなアメニティ空間を演出。21世紀の商店経営をめざしています。
長沼の清冽な水―そんな恵まれた自然をいかした特産品が、毎日生み出されています。長沼ならではのもの。それは未来へ伝えたい、まちの誇りです。
爽やかな緑の風の中、かろやかに歩む生徒たち。若い力に秘められた、明日の可能性は無限です。その一人ひとりがまちの未来を輝かせていきます。