長沼町の伝説 -003/224page
動物に関するもの
犬石・石仏供養塔 《勢至堂》
永正年間、勢至堂には村はなかった。
犬をつれた狩人が、山から山へ狩をしてこの地にたどり着いた。一休みしたら、朝からの疲れがどっ と出てついうとうとした。非常に犬が泣きさわぐので、起きて呼べば尾を振って喜ぶ。うとうととする とまた犬が泣きさわぐので眠ることはできなかった。
しかし、眠けはつのるばかりで、夢うつつで鉄砲の台 尻で犬をはたいてしまった。犬は悲しい声を上げて死ん だ。ふと我にかえってみれば、大蛇が今にも狩人を呑ま んとしているではないか。狩人は鉄砲を取って大蛇と戦 って遂に打ち殺した。
狩人は後悔した。飼犬は自分を大蛇から守るために吠 え続けたのだと思うととてもふびんで、自分の浅はかさ を後悔して犬の供養に石碑を建てた。