長沼町の伝説 -004/224page
この大蛇は向いの山の沼に住む龍だともいわれる。
今も、向いの高い山を龍ケ峯と呼び、沼のあった所を沼ケ平と呼んでいる。
犬のために建てた供養塔があるので、石仏という字名が付けられた。県道工事のため道路が広くなり 崖が切り立ち、その上の西方に町の水道浄化槽ができて、犬石の所に行くのには不便となった。
この話は私が幼い頃、勢至堂小学校の佐久間という先生に聞いた話です。
(話者 柏木平蔵)
壇九郎狐 《下江花》
長沼町から江花に通ずる(現在は県道)道路の中間に、一里塚があった。現在は畑に開墾されてしまっ たが、私たちの小学校に通学していた頃は、畑の中の道路のかたわらに、雑木が繁った、二間四方ぐら いの塚であった。たぶんこの塚は道の両側にあったものと思われる。北側は重畳たる山々で、夜な夜な 狐が出て人々をなやましたといわれ、人々はここの狐を壇九郎狐といっていた。
私の曽祖父も、ある時、親戚のご祝儀に招待されて、ご祝儀の引出物の塩引やその他の魚類などを藁 つとに包んだものを背負って、夜中にこの一里壇の道を通りかかった。すると、どこからともなく砂を 頭上からばらばらとまくものがある。初めは気にもしなかったが、たびたび砂をまいたり木々をゆすっ たりする。