長沼町の伝説 -033/224page
火・水に関するもの
勢至堂の滝 《勢至堂》
江花川(阿武隈川の支流)の源を発する渓流は、俗化されない渓谷である。鬼面山の巨岩、苔むした岩 肌に降った雨と、密林や幾多の植物群に降った雨が清水となって沢を流れ、各所に滝や淵を作り出して いる。
白馬の尾をたれたような馬尾の滝は、高さ一二メートル余もあり、滝の中でもみごとで、昔、参勤交 代で通行した会津の殿様も、駕篭を休めて観賞されたものといわれている。
銚子ケ滝は銚子の口より落下する一条の水流を見て、その名が付いた。明治二十九年の山津波で、銚 子の口が壊れてなくなったが、その名にふさわしく、一六メートルの高さから落下している。
姫子の滝は、昔、弘法大師がこの地に来て、岩間を錫杖で突いたところ、噴出したといわれている。
またこの滝の上に平な原があって、ここにお姫様が住んでいたので、その名が付けられたといわれる。
山姫の如何に居るらん勢至堂
岩瀬にさらす滝の白糸という歌がある。