長沼町の伝説 -041/224page
清八清水 《志茂》
今から約二百年ほど前に、清八という若者が住んでいた。父親が重い病気にかかり、生死の境に裏山 から出る清水が飲みたいというので、清八が裏山をさがしたところ、小瀧のように流れ落ちる清水を見 つけた。
早速、その清水を汲み取り、父親に飲ませたところ病気がよくなり、治って長生きしたといわれる。 それからこの清水を、清八清水と呼ぶようになった。非常に冷たいので、一名冷清水ともいう。
今も志茂地内の岩の割目からは、滝のように冷たい清水が湧き出ていて、野良仕事に出ている部落の 人々ののどをうるおしている。
(語者 井跡忠兵衛)
うるし清水 《志茂》
うるし清水は、志茂日向から末津久保に通ずる道路の右下にある。昔は、直径三尺ものうるしの大木 があったので、その名がついたといわれる。
今は何代目かのうるしの木が数本跡継のように、のびのびと育っている。清水は最近まで野良仕事の 人たちの喉をうるおしていたが、今は清水の跡のみが残っている。
(話者 石井 栄)