長沼町の伝説 -040/224page
伝えられ、近所の人々は手桶に汲んで、肩にかついで運んでは飲んだものである。難病の人も、死ぬ寸 前に、一言「薬師清水の水」と口走ったという。一口飲むと「ああ、うまかった」といって一命を閉じたと いわれる。
祭礼は旧四月八日で、出店も沢山出て、にぎやかだった。以前は木戸もあったが、いつのまにかなく なってしまった。
(話者 菅野精一)
念仏清水の由来 《志茂》
志茂字札場にある清水で、昔、北横田、大久保村の 農家が大旱魃の年に、水不足で困り果てたあげく、上 流の水源地の札場の所に来て、雨乞をして、酒を飲み、 念仏を唱えながら谷地を掘ったところ、念仏の節に合 せるようにもくもくと水が湧き出て来た。それ以来、 念仏清水と呼ぶようになった。
その後も、旱魃の年には、この清水の所に来て、念仏 を唱えながら清水を廻って、雨乞いをしたという。
(話者 石井 栄)