鏡石町勢要覧-011/029page
心にしみる古(いにしえ)の物語
鏡沼は鎌倉時代の悲話伝説に由来します。別名「かげ沼」とも呼ばれ、現在は田園風景の中に、その面影の沼跡が残っています。
古い文献によれば、この沼には蜃気楼が起きると言われ、かの俳聖・芭蕉も立ち寄っています。しかし「かげ沼という所にいくに、今日は空曇りて物影うつらず」と、期待した"物影"が見られなかった心残りを「奥の細道」にとどめています。鏡石町には、このほかにも時代時代の面影を色濃く漂わせる旧跡が点在しています。
陣ケ岡遺跡もそのひとつで、約2万〜3万年前の石器や縄文土器が多数出土し、県を代表する遺跡に数えられています。
また、県重要文化財である杉戸絵を収める西光寺、ユニークな云い伝えが残る乳石神社、弘法大師の教えを刻んだとされる正和の碑(白山神社)など、随所にある遺跡の数々から町の歴史を遡ることができます。
小栗山(おぐりやま)観音堂 鹿島神社 仙道三十番目の札所。堂内には十一面観世音の木製座像が安置されています。
高久田館主箭部紀伊守の「カブト」の立物が御神体として奉られています。
笠地蔵 牛乳山乳石道祖神(ぎゅうにゅうざんにゅうせきどうそじん) 古くから笠地蔵として親しまれ、今も4月23日、8月23日の縁日には大勢の人々で賑わいます。全国でも珍しい笠つき碑は、昭和53年に町の文化財に指定されました。
この巨石に祈れば、お乳がたくさんでるようになると言われる。
陣ケ岡遺跡(じんがおかいせき) 宝泉院大日如来自然石板碑(ほうせんいんだいにちにょらいしぜんせきいたひ) 出土した石器は地名にあやかり「成田型ナイフ形石器」
と命名。大日の碑と知らずに橋に用いたところ、その上で皆落馬したという逸話が残る。
正和(しょうわ)の碑(ひ) 仁井田双式来迎三尊図像磨崖板碑(にいたそうしきらいごうさんぞんずそうまがいいたひ) 正和2(1313)年建立。刻まれた梵字は「アーンク」と読み、大日如来を表す。 嘉暦4(1329)年作。岸壁に浮彫された全国唯一の双式の阿弥陀来迎像。