ふるさと昔話 2 - 042/066page
鏡石北原(きたはら)のバケモノ退治(三)
むかし むかしのある年の ある日のことでした。
町守屋のお寺に、笠石(かさいし)村と成(なり)田村の二人の庄屋(しょうや)さまがたずねてきて 畳に頭をすりつけて ペコ ペコ しながら、お師僧様(ししょうさま)にたのんでいます。それは 笠石と成田の境(さか)えの北原という山道に、恐ろしいバケモノが出て 村の人々が大変困(こま)っているから お寺の法念(ほうねん)さんに助けていただきたいというお話なのです。
もしも 退治をしていただければ そのご恩(おん)に沢山(たくさん)のごほうびを差(さ)し上(あ)げますとのことでありますので、法念は 「それでは そのうち 機(き)会をみてお伺いいたします。」と、引(ひ)き受(う)けました。ある日 法念は、お師僧様のお命令で手紙を持って須賀川の千用寺(せんようじ)様、上小山田の古寺(こてら)山、三城目(さんじょうめ)の景政寺(けいしょうじ)様等の寺々を廻(まわ)ってくることになりました。
バケモノの出るという北原というところにさしかかった頃は、夜の十一時頃 そろ そろバケモノが出る時刻です。
風もないのに草木がゆれる。なまぐさい風が時々サー サー と顔をなでる。法念は、「これはいよいよ出るぞ」と思ったから、天狗のウチワでパッサ パッサとあおいで百姓姿にバケ、すたこらすたこら歩いて行(ゆ)くと、小さな小僧が トコ トコと一人で歩いて行くのです。足が痛いのか びっこを引いているのです。法念の百姓は「足が痛(えて)そうだからおんぶしてあげっぺえー」と小僧さんと目を会わせたら「これは驚いた 一つ目小僧で目が黄色く光って見える」ではないか。
おんぶした小僧の目方がだんだん重くなってきた。不思議に思って後を向いたら「モー」と真黒な大きな牛が目玉をギョロギョロ。そこで法念の百姓は、「重くてかなわねえーこんどは私が牛に乗せてもらうべえー」といって、牛の背に乗りました。ここで法念は、北海道の月の輪クマにバケて牛を背中から、熊のするどいツメをたておさえつけましたからたまりません。
バケモノの牛は驚いて「さあ大変だ」とクマの手を振り
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