ふるさと昔話 2 - 049/066page

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  風の日に泣く神様の話

 

 柱田の神明神社にお参りをして、二拝二拍手のあと 大きな鈴をガラン ゴロン ガラーン ゴローンと九回鳴らしてから、ありがたいご真言の「おんそわ おそわか…」と、唱えながら、お米を百粒程お供えします。このお米が、三日後の朝までになくなっていれば、その人の願い事は、必ず成就(じょうじゅ)するという神様のお告げでした。

 大病に罹(かか)り、お医者様にみはなされた病人が、うそのように治った。
 無実の罪で、打ち首になろうとした貧乏人が、名奉行様の出現で助かった。
 悪人のために、家も田畑もだまされて取られそうになった時、お殿様の取り計らいで助かって、家族一同涙を流して喜んだ話。
 武士になろうと一生懸命勉強をしたんだが、頭が悪く、なかなか試験に合格しません。そこで神明様に願(ねがい)をかけ、目出たく合格をし、今泉の代官所に任官をした若者の話。
 子供がほしくて待ちこがれていた正直者の庄屋の息子さんの奥さんが、ついに可愛い 可愛い 女の赤ちゃんを産んだという目出度い話。
 あれもこれもと、うまくいったお話をあげればきりがありませんからやめましょう。

 神明神社の神様は、誰でも彼でもの願い事を何でも聴き入れてくれたのではなかったようでした。それは、その人が、つね日頃から正しく、明るく、常識のある正直者の願いはきき入れてくれました。神様もまた、公平で正直なお方なのですね。
 柱田の神明様は、一生一度の大切な願い事を成就して下さるありがたい神様だ。といって近郷近在はもとより、遠くからもお願いに来る人々が引きもきれない賑いでした。

 ところが、明治の時代になっていろいろの都合で神社のそばに建っていた観音様のお堂を、ほかの所へ移してしまったのです。ところがそれからというものは、だんだん神様のききめがうすくなりました。
 その後強い風が吹くと神社の大杉が「ゴーツ ゴーツ」大きなうなり声をたてて、誰かを呼ぶようなかなしいライ


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