天栄村村勢要覧 -005/028page
鳳坂峠に降る雨は、村の自然をやさしくつなぐ
四季折々にさまざまな彩りを見せる天栄村の自然。ふるさとに降る恵みの雨は、村のほぼ中央部にある分水嶺「鳳坂峠」を境に、西は日本海、東は太平洋へと山々の緑を潤しながらすすみます。この急峻な鳳坂峠が天栄村の自然を大きく二分しています。
西部地区は、大白森山・小白森山・二岐山などの標高1500m以上の急峻な山岳地帯が続き、二岐川・鶴沼川の渓谷、羽島湖周辺の高原など、変化に富んだ景観が特徴です。この地域の大半が大川羽鳥県立自然公園に指定され、村のシンボルである羽鳥湖を中心にさまざまな観光ポイントが広がっています。東果部地区は、釈迦堂川と竜田川の清冽な流れによって肥沃な耕地がひらけた農村地帯となっており、穏やかな気候の中、人と自然が豊かに共生しています。
こうした二つの異なった魅力をもつ本村の自然は、次代へと引き継ぎたい貴重な財産。野生鳥獣の保護、リゾート地域などの美しい景観形成など、調和のとれた土地利用がこれからの課題です。野鳥のさえずり、鹿の高鳴きわたる渓谷
●二岐渓谷(ふたまたけいこく)
みちのくの秘湯「二岐温泉」から南西に約4kmほど奥に源を発する二岐川。 村の自然をそのまま伝える神秘的な原生林には、カモシカ、野ウサギ、リスと いったたくさんの動物たちが棲息しています。●鳳坂峠(ほうざかとうげ)
古くは這って登るほど険しかったことから「這坂」と呼ばれていました。 太平洋と日本海の分水嶺側をなす天栄山・権太倉山の谷部838mを通り、村 の気候を二分しています。いつの世も変わらず人々の生活を支える
●釈迦堂川(しゃかどうがわ)
通称「廣戸川(ひろとがわ)」とも呼ばれ、古来より人々に愛されてきた川。沖内地区には河童の民話が残っています。清冽な流れが森林に生命を与える
●鶴沼川(つるぬまがわ)
上流の羽鳥湖周辺から岩瀬湯本温泉を経て会津盆地へと流れる川。澄んだ水に はイワナやヤマメなども生息しています。30mの断崖から流れ落ちる美しい滝
●馬尾ノ滝(まおのたき)
ふだんは馬の尾のように数列になって流れ落ちることから、この名がつきまし た。特に秋の紅葉の美しさは必見です。原生林の奥にたたずむ水しぶき舞う滝壷
●明神滝(みょうじんのたき)
湯本地区、赤石川の支流にかかる滝。滝の左岸には社があり、祈ると日照りの 時でも必ず雨が降ると伝えられています。残雪の姿も美しい村で一番高い山
●大白森山(おおしろもりやま)
天栄村、大信村、下郷町の境にそびえる標高1642mの山。小白森山との連なりも 美しく、登山家たちに人気です。天栄村 Keyword
「自然からのかけがえのない宝物・清水」
ひんやりと喉を潤すおいしい清水は、村のかけがえのない宝物。「顔を洗うと美人になる」「玉露のような良い香りのするお茶ができる」など、さまざまな伝承や由来が残され、村民はもとやり近郷近在から清水を求めてくる人たちの姿が後を絶ちません。