玉川村勢要覧 -017/038page
Winter
冬
木枯らしが頬をなでても、子どもたちの躍動はかわらない。頬を赤く染めて、冷たく澄んだ外気を深呼吸しながら、青空にむかって飛び跳ねる。身体の中で波打つ若い生命を楽しんでいるかのように。家々の軒先につるし柿や干しダイコンが並ぶころ、家族と過ごすひとときに心躍らせて雪合戦、かまくらなどの雪遊びに熱中する。純粋な笑顔がかがやく。その一方で、静寂とモノクロームが辺りをおおう夕刻の静けさは、村に豊かな思索を連れてくる。文明を過信しすぎている現代人が今一度、見つめ直さなければいけないものの存在を教えながら。その一方で、冷たい冬の風はやがて来る暖かな春に新しい芽がふくらもうと準備していることも知っている。