あさかわ 浅川町勢要覧2000◎町制施行65周年記念 -015/038page
そして森を守り、森を育む
森が人々にもたらす働きはさまざまあるが、生活環境保全林に指定されている城山は、大きくは「国土保全」 と 「保健休養型」 の二つ の機能をもっている。
国土保全とは、水資源の確保と災害防止、貴重な動植物を保全するもの。一方の保健休養型とは、自然林のように造成され、安らぎ と楽しさ、歴史と伝統を覚える森林環境を備えていることを意味している。いうなれば、もともとある自然環境を生かし、森林浴や自 然観察の森といったレクリエーション環境をつくつていこうというものである。
その基本方針は、城山の生活環境保全林一三・八五ぬに、必要以上に手を加えることなく、自然環境を守ることを重視している。 いまそこに樹々が青々と茂っているのも、その方針と浅川の人々の思い入れによるところが大きい。植樹とその育成管理の必要性を考 えたまちが植樹を呼びかけ、それに応えた町民有志が桜やツツジを次々と植え、昭和六〇年から三カ年をかけて福島県と浅川町の整備の もとに、季節感あふれる城山をつくりだした。
その樹木が健やかに成長するよう定期的に手入れしているのは、まちから委託を受けた六〇代から七〇代の浅川の人たち。ボランティ アに近いその活動からは城山への想いの深さと自然への高い精神文化を知ることができる。
城山と対話し、その営みを知り、育んでいく。それは同時に、浅川の人々の営みであり、成長ともいえる。これからも浅川の人々は、 新しい時代にふさわしい自然環境を創出するために、城山との対話を続けていくことだろう。子どもたちへと引き継いでいくために。美しい山並みとみずみずしい緑に包まれた浅川。緑の小道を歩くとき、深い安らぎを覚えるのは、母なる大地に包まれているように感じられるからだろうか。 幾世代にもわたって受け継がれてきた城山は、わたしたちの生活や文化を守り育ててきた大切な財産でもある。