あさかわまちが生んだ偉人-025/093page
初夏とはいえ、太陽の光があたりに強く照りつける中で、試合は開始されました。
本院対分院の試合です。私も本院のチームに入れてもらいました。吉田先生は、分院のチームで出場しました。先生は、ストライクが出るということでピッチャーになりました。
マウンドの先生は、流れ出る汗をふきもせず、まっかな顔で一球一球を投げています。その真剣な態度を見ていると、親睦会であることを忘れるほどでした。
いよいよ小学生である私の打つ番です。私は子供です。私の父は、吉田先生の研究所の所長です。打てる球を投げてくれるにちがいありません。
一球目、ストライク。先生の態度は、他の大人の人の時と少しも変わりません。これはまったく意外なことです。私にとってこれほど緊張したことはありません。
続いて二球目、ストライク。
三球目は、ボール。
その次のことです。私は、好球が来たのに見送ってしまいましたので「あっ、