あさかわまちが生んだ偉人-051/093page

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上級生の仲間も、はやしたてます。
かんにんぶくろのおがきれた稔は、上級生を次々とたんぼの中へ投げこんでいきました。稔は体も大きく、力も強い少年でした。さすがの上級生も稔には勝てません。
たんぼにはまってどろだらけになった上級生たちは、泣きながら走ってどこかへにげていってしまいました。
「大ちゃん、もう泣くな。」
稔は大作をなぐさめ、二人は家へ帰りました。
けんかには勝っても、稔はすっきりした気持ちにはなれませんでした。じっさいに、稔の家はびんぼうでした。稔の父も母も、稔たちをりっぱな人に育てようといっしょうけんめい働いているのですが、決して生活は楽ではなかったのです。
それを知っている稔は母にけんかの理由を聞かれても、「びんぼう人」と、ばかにされたからとは、どうしても言えなかったのです。
稔少年は、時にはらんぼう者とよばれましたが、家族思い、友だち思いの少

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